過去ログ - ジャムおじさんの息子
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13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:21:26.29 ID:/p0Ll9udO
窓の外の真っ暗な闇が次第に暖かみを帯びて、お日様の光が僕の部屋にも差し込んでくる。
かなり早起きしてしまった僕は、輝く朝日を静かに眺めていた。
空は昨日と同じように青く、いつもと同じような雲が浮かんでいる。
僕はその一つ一つに安心しながら、身支度を整えた。


「おはようございます」


階段を降りて工房に向かうと、ジャムおじさんが僕の顔を焼いてくれていた。
少し夢うつつな僕は、なんだかいつもよりも嬉しくて微笑んでしまう。


「おはよう。よく眠れたかい?」

「はい。どうしてか分からないんですが、なんだかとても優しい気分です」


どことなくぼんやりとした僕の声を聞いて、ジャムおじさんは少し真剣な顔をした。


「アンパンマン、ちょっとこっちへ来てくれないか」

「はい」


僕は無意識に床から浮いているのか、体がふわふわと動いた。
不思議な気持ちでジャムおじさんの前まで歩くと、ジャムおじさんは僕の手をとった。


「やはり、少し熱があるようだね」

「えっ?熱ですか?」


言われるまで自覚がなかったのに、急に僕は自分の手が熱を持っていることに気がついた。
なんとなく、景色が柔らかく輝いているのもそのせいなんだろうか。
ほのかな光りの中で、ジャムおじさんは穏やかに笑う。


「疲れが溜まっているのかもしれないね。今日はパトロールをお休みしたらどうかな」

「でも、僕がいかないと……」

「大丈夫。今日はカレーパンマンにお願いするから。
ちょうどパン工場に来ることになっていたんだ」

「そうですか」


僕はほっとして、ちょっとだけ熱が上がったような気がした。
そんな僕に、ジャムおじさんは肩を貸してくれた。


「今日はゆっくりするんだよ」

「はい。ありがとうございます」


ジャムおじさんの声が、じーんと心に染み渡っていくような、そんな気分だった。
僕が困っていると、ジャムおじさんはいつも助けてくれる。
あとから付け足すようだけど、バタコさんとチーズもいつも僕を支えてくれた。
僕はなんて幸せなんだろうと、ふと思った。


「それじゃ、新しい顔はあとで届けてあげるからね」

「はい」


僕は安心して目を閉じる。
ジャムおじさんが部屋の扉を閉める音や、バタコさんが目を覚まして慌てて階段を駆け降りる音。
元気なチーズの鳴き声や、三人の笑い声が聞こえて、僕のまぶたの裏にはその様子が浮かぶようだった。


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