14:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:24:05.21 ID:/p0Ll9udO
そして、しばらく忙しそうな音が続いて、パン工場の扉をノックする音が響く。
「こんちはー!」
この声はカレーパンマンの声だと、僕はすぐに分かった。
迎え入れられたカレーパンマンは、ジャムおじさん達と笑いながら話す。
「今日、ジャムおじさんがカレーを作ってくれるって言うんで、昨日は眠れなかったぜ」
「そうかい。私はカレーパンマンが作るカレーの方が大好きだけどね」
「へへっ、照れるなぁ」
僕はみんなの賑やかな声を聞いて、みんなの笑顔を想像していた。
まぶたの裏で、みんなにこにこしている。
チーズはジャムおじさんのカレーを食べたそうにして、バタコさんはパンの準備をしながら話をしていて、カレーパンマンはジャムおじさんの方を見て笑っていた。
そして、ジャムおじさんもカレーパンマンの方を見て笑っていた。
「……おかしいなぁ」
僕は胸が苦しくて、呼吸をするのも辛くなった。
胸がぎゅーっと押し潰されるような、冷たい秋の風に吹かれているような、そんな気分だ。
みんなは楽しそうなのに、どうして僕はこんな気分なんだろう。
いてもたってもいられなくて、僕はふらつく足をなんとか動かして、ベッドを抜け出した。
「ジャムおじさん、あの……」
「アンパンマン!寝てなきゃダメじゃねぇか!」
よろめきながら歩いてきた僕を、カレーパンマンは慌てて支えた。
バタコさんもチーズも驚いて、なにか大きな声を出している。
けれど、僕はみんなの声がとても遠くに感じた。
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