77: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/24(水) 23:02:58.67 ID:vFjogsMU0
息を荒げて、ふみかちゃんが教室に入ってきた。
私は、咄嗟に立ちあがる。
後頭部に何か固いものがあたった。
りょうのあごだ。
78: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/24(水) 23:24:25.48 ID:vFjogsMU0
「あみちゃん?」
名前を呼ばれただけなのに、どこか、見透かしたような瞳に私はどきりとする。
気のせいかも。気のせいであればいいのに。
どうしてこんなに気を遣っているのか、自分でも可笑しいくらい。
79: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/24(水) 23:42:59.04 ID:vFjogsMU0
日本社会に、女は必ず男と付き合うってきまりでもあればこんな風にもやもやしなかったのかな。
付き合わなければ、禁固刑とか。
子どもを産め産めって言うなら、そのくらいやればいいんだ。
そしたら、女友達とのことでこんなに悩まないのに。
私だって普通の恋愛を楽しんでいたかもしれない。
80: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/24(水) 23:59:12.46 ID:vFjogsMU0
そうやって、私は自分を卑下しながら、ふみかちゃんの背中を見つめていた。
その日の4限終わりに、ふみかちゃんの様子が変なことに気が付いた。
気だるげというか、
81: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/25(木) 03:23:23.82 ID:2XZS+p/00
ここまで
82: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/28(日) 20:34:39.29 ID:xabxfl/s0
りょうの手を軽く押し返して、ふみかちゃんは小さく笑いながら、
「うーん……たぶん、看病して疲れたのかも。昨日からお父さん調子悪くて、ちょっとばたばたしてて……」
「早退しちゃいなよ」
83: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/28(日) 20:48:49.83 ID:xabxfl/s0
結局、ふみかちゃんは軽い誘いに乗ることなく放課後を迎えた。
弱ってる所が可愛いなんて言ったらどんな反応が返ってくるだろう。
きっと、私なんかが言っても何にも響かないと思うけど。
「家まで送っていくよ」
84: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/28(日) 21:01:36.33 ID:xabxfl/s0
もっとも、たぶん何回か言ってくれてはいた。
今日は、どういう訳かふみかちゃんの意識の中に私がいたような心地がしなかったのだ。
かと言って、りょうを意識しているのかと言うとまた違うような。
とにかく、今日のふみかちゃんはどこか変。
そんな言葉で、彼女を表現するのも気が引けてしまうけど。
85: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/28(日) 21:23:54.21 ID:xabxfl/s0
私の家への分岐点である郵便局前を通り過ぎる。
その頃には、人の顔が判別できない程度に陽は傾いていた。
歩道橋から混雑気味の車道を眺めながら、ふみかちゃんが呟いた。
「二人で帰るの久しぶりだね」
86: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/28(日) 21:33:25.62 ID:xabxfl/s0
周りの街灯やビルの明かりを反射して、彼女の瞳だけがゆらゆらと揺れていた。
昨晩の電話のやりとりを思い出した。
「最近、あみちゃんに感じてる私の気持ち……そんな感じだから」
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