過去ログ - 真姫「少し遅れたバレンタイン・デイ」
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1:名無しNIPPER[sage]
2016/02/15(月) 02:41:12.61 ID:AwFzoG1+o
 意気地なしと、頭のなかの私は私を罵った。
 2月14日午後10時。普段勉強道具が広げられている机には、16の包みが広がっている。
 半分の8個はリボンの色が違うだけの同じもの。もう8個は、それぞれ個性的な包みに入ったもの。
 最初の8個は、わたしが作ったものだった。
 バレンタインに、友情の証としてチョコレートを贈る。柄じゃないってわかってるけれど、どうしても贈りたかった。
 ネットで調べて、ママに相談して。そうして出来上がったチョコレートを今日の練習に持っていった。
 だけど、渡せなかった。
 みんなが手作りのチョコレートを持ってきていた。それも、とっても上手な。
 生チョコレート、パウンドケーキにクッキー。あの凛や穂乃果でさえ、ちゃんとしたものを作っていたのだ。
 それに比べて自分はどうだ。不慣れなのを言い訳に、市販のチョコを溶かして、固めただけ。
 ママは初めてなんだからそれでいいといったけれど、駄目だ。それでは駄目なのだ。
 だって私には時間があった。練習するだけの時間が、確かに存在していたのだ。
 自身の作ったものが酷く無様に見えた。作るのを忘れていたなんて薄っぺらな嘘をついて、みんなに仕方ないと慰められて。
 なんて、惨めなんだろうか。

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2:名無しNIPPER
2016/02/15(月) 02:41:52.22 ID:AwFzoG1+o
 2月15日。
 どんなに暗澹たる気分であっても、いつもどおりに太陽は昇る。
 未だ冬の最中といえど春の気配を感じられるほどには暖かい。
 カバンのなかには、先日作ったチョコが入っている。もしかしたら渡せるんじゃないか、なんて。

以下略



3:名無しNIPPER
2016/02/15(月) 02:42:21.15 ID:AwFzoG1+o
「まーきちゃん」
「っ!?」

 不意に襲い来る衝撃に手に提げていた鞄を取り落とす。
 心拍数が上がるのを感じながら、背中に飛びついてきた人物を確認する。
以下略



4:名無しNIPPER
2016/02/15(月) 02:42:50.13 ID:AwFzoG1+o
「真姫ちゃん」
「……なによ」
「話だけでも、聞かせてくれないかな。真姫ちゃんの力になれるのならなりたいし、話すだけでもすっきりすると思うから」
「……私は」

以下略



5:名無しNIPPER
2016/02/15(月) 02:43:19.76 ID:AwFzoG1+o
 思い立ったが吉日ということでその日の練習は休んだ。もちろん、理由は伏せて。穂乃果も同じように休んだ。
 一度家に戻り、スーパーでチョコの材料を買ってから穂むらへ向かう。バレンタインが終わり、投売りされていたお陰で非常に安く買うことができた。

「いらっしゃい」
「お邪魔するわ」
以下略



6:名無しNIPPER
2016/02/15(月) 02:43:45.84 ID:AwFzoG1+o
 そういって穂乃果は作業を開始する。
 手早くチョコを細かく切り刻み、生クリームを火にかける。沸騰しない程度に暖まったものをチョコと一緒にボウルへ入れる。

「室温が低かったら湯煎もしたほうがいいかな。今日はあったかいからいらないけど」

以下略



7:名無しNIPPER
2016/02/15(月) 02:44:12.07 ID:AwFzoG1+o
「正直、意外だったわ」

 チョコ作りの練習は日が暮れるまで続いた。
 十分な練習ができたとはいいがたい。が、明日明後日中に渡さなければならないというわけではない。さすがに、何度も部活を休むことはできないけれど。

以下略



8:名無しNIPPER
2016/02/15(月) 02:44:38.77 ID:AwFzoG1+o
「今日は、ありがとう」
「どういたしまして。……真姫ちゃん、ファイトだよっ」
「うん、頑張る」


9:名無しNIPPER
2016/02/15(月) 05:02:33.15 ID:AvuK3n7V0
つまんね


10:名無しNIPPER[sage]
2016/02/15(月) 07:01:29.28 ID:3cV+WIzsO
支援


11:名無しNIPPER[sage]
2016/02/15(月) 15:38:17.35 ID:a2dWiPLWo
つまんねもんじゃさん、ちーす


12:名無しNIPPER[sage]
2016/02/15(月) 19:47:42.69 ID:Du6gaFh6O
ほのまきすき


13:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 03:26:15.33 ID:CQIodgOVo
 結末は思っていたよりもあっさりしたもので。
 あれから数日間、家に帰ってはチョコレートを作る生活を繰り返した。
 身体にチョコレートがしみついてしまったけれど、その甲斐あって満足のいくものができた。
 固めたものを小さく切り分け、それを8個に分けてラッピングする。包みは全て同じで、リボンで差別化する。
 それで、渡す。渡した。
以下略



14:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 03:26:41.31 ID:CQIodgOVo
「真姫ちゃん真姫ちゃん」

 私がチョコを渡してから更に数日。部活へと赴く前に、花陽に呼び止められる。

「どうかした?」
以下略



15:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 03:27:25.20 ID:CQIodgOVo
 結局、みんなバレンタインのチョコだとは思っていなかったらしい。
 というか、私が作ったものだとも思っていなかったそうだ。
 ……それを責めることはできない。
 渡す時、碌に説明をしなかったのは私だ。自分がチョコを作るだなんてイメージがないのもまた事実。

以下略



16:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 03:28:25.43 ID:CQIodgOVo
可どころか不可しかないようなものでしたがお付き合いありがとうございました


17:名無しNIPPER[sage]
2016/02/16(火) 05:21:03.65 ID:PsCPDQGRO
乙んこ


18:名無しNIPPER
2016/02/17(水) 00:34:06.99 ID:ZmVGtMgN0
糞ss晒し上げ


19:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 00:43:31.58 ID:Ku8hr8Iqo
悔しいなぁ


20:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 04:20:03.87 ID:sriC8bvYO
ほのまきすき


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