9: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:08:04.98 ID:KdggYUJB0
P「じゃあ、森久保さんが頑張って仕事したらご褒美をひとつ、なんでもあげるってのはどうだ」
乃々「…………なんでも、ですか」
P「おっ、食いついたな。ああ、俺にできる範囲なら構わないよ」
10: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:10:26.29 ID:KdggYUJB0
乃々「……じゃあ、これからは呼び捨てにしてほしいんですけど」
11:名無しNIPPER[sage]
2016/02/19(金) 15:10:31.86 ID:QPP1CkIA0
期待
ん?今なんでもって
12: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:17:09.92 ID:KdggYUJB0
P「呼び捨てというと、俺が、君に対して?」
乃々「あうぅ……それしかないんですけど……」
P「そんなことでいいならお安い御用だ、任せてくれ」
13: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:24:34.21 ID:KdggYUJB0
流石にいまはそんなことはしないが、デビューしたころの彼女はなにかがある度にデスクの下に潜っていた。
腕時計に目をやると、時刻は二十時を少し越えていて、ラジオの収録を終えた彼女がそろそろ帰ってくるころだ。
14: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:26:41.72 ID:KdggYUJB0
更衣室に行くために彼女が出ていった事務所の扉の先を、なんとはなしに見つめる。
いつのまにか彼女は、遠く、大きい存在になってしまった。
15: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:30:54.68 ID:KdggYUJB0
着替えに行った彼女が戻ってくるタイミングに合わせて、コーヒーを淹れなおす。彼女が遅くに帰ってくるときは決まって、こうしていた。
ガラステーブルを挟んで、お互いに向かい合う形でソファに腰掛ける。
彼女はピンクの、俺は水色のマグカップで、これは彼女がデビューしてすぐのときに買ったものだ。
16: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:35:08.19 ID:KdggYUJB0
彼女がアイドルとして覚醒したのは、二十歳を迎える少し前だっただろうか。月並みな言い方だが、彼女は文字通り「化けた」。
容姿や性格といった個性は、一度アイドルとしてファンに周知されてしまえば、そう簡単に変更できるものではない。
ましてや彼女にはそもそも野心がないというのに。
17: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:49:26.06 ID:KdggYUJB0
イベント企画ではアフリカの奥地に行って芋虫を食べたり、現役プロレスラーと共演したバラエティ番組では番組の罰ゲームとしてジャイアントスイングをかけられたり、そういった俺のプロデュースがあってか、彼女は仕事を経ていくうちに、いわゆる危機回避能力のようなものを会得した。
自分に危害が及びそうなものに対しての嗅覚が鋭くなったのはもちろん、ここぞというところで、罰ゲームやテレビ的には「オイシイ」とされるポジションを避ける勘や運が身についたように思う。目立ちすぎることも目立たなすぎることもない、絶妙な立ち位置を彼女は掴んだのだ。
それに気付いた誰かがネットの掲示板で呟いたことから、森久保乃々という少女は、次第にその知名度を高めてゆくことになった。
18: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:54:41.26 ID:KdggYUJB0
彼女のもう一つの強みは、アイドルとしての安定性だった。
たとえゴシップ紙に彼女を貶めるような記事が載っていたとして、ファンの殆どは歯牙にもかけなかったからだ。
彼女はその野心のなさゆえに、ファンを手放すことはなかった。
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