過去ログ - 南条光「砂糖無しで、ミルクはいっぱい」
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名無しNIPPER
[saga]
2016/02/21(日) 15:48:45.68 ID:vaXUSRZy0
スカートの裾を正し、ハンドルを摘むように持って紅茶を飲み込んだ。アールグレイという名前の紅茶で、蜜柑のようでそうでない香りが薫ってなかなか美味い。確かベルガモットという果物を着香したフレーバーティーだったか。ケーキの販売をしてるぐらいだから、茶葉も置いてるだろうか。待て、そんなに無策に浪費して良い筈がない。自制せねば。幸せかつ悩ましい問題を問いながら、口元をナプキンでぬぐってケーキを一瞥した。
トッピングのマンゴーをつつくと、ぷるんとした手応えが返事した。オレンジ・バナナ・ブドウ・メロン、過積載で違反を切られても文句が言えないほどフレッシュな果物がみちみちに詰まった、まさにフルーツの大将軍と形容するべきフルーツタルトだ。
瑞々しく輝くイチゴを潰さぬよう、恐る恐るナイフで切り分ける。それを更に一口大に切り分けて、フォークでぱくり。口の中で果汁が爆発し、ジューシィだと大声で叫びたくなった口を無理矢理押さえ込んだ。
雨上がりの雲の隙間で煌めく日曜の青空のような清々しい味わいだった。特に参考になったのは、強いトッピングの香りが他の弱い味を邪魔してなかった点だ。一瞬薫ったレモンも大事なのだろうか。
本当に良いチームとは、きっとこのタルトのように完璧な調和を織りなしてる物なのだろう。仕事をただ引き受けるだけでは決して届かない、食べる人すら眼中にない、完成度をあげることそれ自体が目的化した職人的人物が産みだすだろう、磨き抜かれた日本刀のようにシャープで重厚な一皿だった。
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