過去ログ - 南条光「砂糖無しで、ミルクはいっぱい」
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8:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 15:46:32.28 ID:vaXUSRZy0

 (これも社会勉強のため、社会勉強のため、社会勉強のため……お店じたいは素晴らしいんだ、アイドルたるもの良い喫茶店を知っていて、インタビューとかで『このお店を贔屓してますっ!』みたいなことをペラペラペラペラ〜〜って言えるようでなければ、なんだろう!)

(そうだ、Pのためありすちゃんのため、アタシのパワーアップのため、それつまりファンのために来てるのだ。何を恐れることがあろうか!)

 納得できるよう無理矢理に理屈を構築して、周囲に慣れ親しむよう努めた。

 そういえば、誰もアタシの存在をとやかく言ったりしない。どうやら変装が上手くいってるみたいだ。スカートなんて制服と仕事でしか着ないけど、だからこそ日頃のイメージとの大きな差を生み出せて、ヒーローらしく身分を隠せてるようだ。

 ベージュやブラウン、ミントグリーンを混ぜたなんちゃって森ガールな格好も、なかなか悪くないものだ。いっそこのコーデで流行を作れたりしないだろうか。名前は石ノ森ガールとかそんな感じがいい。

(為せば為る、為さねば為らぬ、何事も……為さぬはえっと、なんだっけ……?)

 手持ちの服装でもそれらしく見えるよう教育してくれたありすちゃんには頭が上がらない。

 指先にまで神経を張りつめさせ、自分を忘れて優雅に━━━それっぽく━━━振る舞った。気分はまるで何年か前の戦隊のお姫様戦士だ。彼女もラフファイトを披露してたことは敢えて忘れる。この格好であれば、流石のPさんだってアタシの正体に気付かないはずだ。

 そう思ったとき、彼にこの格好を見て貰いたいと思った。ヒーローのそれとは微妙に違うが、努力は努力だ。成果を見て欲しかったのだ。

(どう思ってくれるかな。似合わない、とか言われる……かも……?)

 それとも良くやったな、と誉めてくれるだろうか。あるいは、雨宿りする時に手を引いてくれたゴツゴツした手で、頭を撫でたりするのだろうか。胸中でクエスチョンマークの群が、隣の席で喧嘩してるカップルがぱくついてるアップルパイのように重なっていった。

 ふわふわ髪の可愛らしい少年の耳を引っ張ってる少女の苛烈さを見て、なんとなくワルなアイドルを目指す友人のイメージが重なった。考えるのと平行して痴話喧嘩を眺めてるうち、注文していたケーキと紅茶が届けられた。


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