3:名無しNIPPER[saga]
2016/02/24(水) 14:47:39.88 ID:Z50vb1jJ0
目的地にたどり着いたので、光の肩を揺すって起こした。
「……カラオケ?」
俺たちが到着したのは、個人経営の古ぼけたカラオケボックス。
夜には自己主張のために輝く『カラオケ』の四文字の形をしたネオンサインは、昼間は自分の存在が不要であることを悟って沈黙している。
「これはツッコミ所だな? アタシのバラエティ力をパワーアップさせようとしてるんだろ?」
「ああ、突っ込む所だ」
「親父ギャグの寒さで凍えさせる作戦は、アタシには通用しないぞフハハまいったか」
「やーらーれーたー」
「……そ、その、前行ったホテル、あそこはダメなのか? 遠い?」
おずおずと尋ねてきた光に、残念ぶって「あそこはもう記者がうろついてる」と伝えた。
「そっか……もう何件目だ、これで……」
「新規開拓は俺がやるさ。予約は寝てる間に済ませといたから、ほら」
「大丈夫なんだよな。信じるからね?」
不安そうにしてる光に、経営者の老婆が今何をしてるか教えてあげた。彼女は歳のせいか、こっくりこっくりと船をこいでいた。
ほっと胸をなで下ろした光の手を引き、店内に入って、予約した階段側の部屋の前に立った。
驚いたことに、こんな寂れた小さいお店であるにも関わらず、奥のトイレ側の部屋には利用者がいるみたいだった。
「こんな昼間から……まさか不良か? くっ、アタシが彼らに夢へ向かって努力する楽しさをほんの少しでも伝えられれば……!」
「さぁな。というか、俺たちも同じ穴の狢だろ」
息を吸って吐いて、俺から先に部屋に入った。
中に怪しい物が無いかを一応確認し、ドリンクバーコースだから取ったソフトドリンクを机に起き、それから光を部屋に招いた。
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