1: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:33:06.47 ID:w8NXKRp60
※ オリジナル設定、キャラ崩壊注意
「おっかしいなぁ……なんで動かないんだろ?」
ハンドルを握るPの何気ない呟きを聞き、助手席に座っていたほたるがごめんなさいと言葉を返す。
「その、また私のせい……ですよね?」
眉を困ったように八の字にしてうつむくほたるを見たPが、慌てた様子で君のせいじゃないと付け加える。
「いいんです……不幸には、慣れてますから」
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:34:44.68 ID:w8NXKRp60
世の中には、何をやってもついていない、いわゆる「不幸体質」と呼ばれる人がいるとされるが
彼女、白菊ほたるほど、その言葉がぴたりと当てはまる者もいないだろう。
3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:36:52.09 ID:w8NXKRp60
そして極めつけとも言えるのが、彼女がこれまでに所属していた事務所が全て倒産しているという、
この業界において、ある意味「いわくつき」と噂されるアイドルなのである。
4: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:40:19.45 ID:w8NXKRp60
二人はこの日、とあるテレビ番組の収録のために、車で仕事先へ向かおうとしていたところだった。
だが、いざ車に乗り込んでエンジンをかけようとしたときに、問題は起きた。
5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:42:20.36 ID:w8NXKRp60
とはいえ、二人の対応は慣れた物だ。手早く車から降りると、Pは左腕に巻いた時計へと目をやる。
「仕方ない……車よりは時間がかかるけど、今日は歩いていくしかないなぁ」
6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:43:46.48 ID:w8NXKRp60
さて、車が動かないとなれば、徒歩ではなくバスや電車を使えばいいじゃなかと言う声が聞こえてきそうなので
その事についても少し、説明しておかねばなるまい。
7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:50:44.53 ID:w8NXKRp60
しかし、電車に乗ると何かしらの理由で電車が止まり、ならばバスだとバス停に向かえば、着いた途端に目の前でバスが走り去る。
タクシーにいたってはそもそも二人の周りに現れないし捕まらない等々……とにかく何かしらの理由で到着できなかったり、
8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:52:36.44 ID:w8NXKRp60
――事務所を出てから数十分。
うららかな日差しの下、街路を並んで歩くほたるとP。そんな二人の間を風が抜けていくと、うなじの辺りから丸く
9: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:53:53.64 ID:w8NXKRp60
日の光を柔らかに反射する透き通るような白い肌に、薄幸そうな顔立ち、
それらがほたるの纏う儚げな雰囲気と合わさって、何かこう……人の庇護欲を刺激するのだ。
10: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 01:54:31.53 ID:w8NXKRp60
書き溜めおわりにつき、一度中断
11:名無しNIPPER[sage]
2016/02/26(金) 10:17:02.99 ID:D0pwB2ui0
待ってる
12: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:01:47.25 ID:w8NXKRp60
いつもならばこうして歩いていると、何の前触れもなく頭上から植木鉢が落ちてきたり、どこからかボールが飛んできたり、
なぜかカラスが集まってきたり、不審者と間違われてPが警官に呼び止められたりするのだが、
13: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:03:13.71 ID:w8NXKRp60
一瞬、頭の上に何か冷たい物が落ちてきて、それが続けざまに二度、三度……
やがてぽつぽつと足元のアスファルトに小さな点ができ、辺りの空気も湿り気を帯びたものに変わっていく。
14: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:04:08.83 ID:w8NXKRp60
「ちくしょう……今日は晴れるんじゃなかったのかよ」
二人と同じように雨宿りをしていた見知らぬ男が、空に向かって悪態をつくと、その言葉を聞いたほたるの顔が曇る。
15: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:04:45.95 ID:w8NXKRp60
「とりあえず、傘がいるな……そこのコンビニで買ってくるから、ちょっと待っててくれないか?」
ますます勢いを強くする雨になるべく濡れないよう注意して、Pが数軒先にあるコンビニへと向かう。
16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:05:38.34 ID:w8NXKRp60
――最初に説明したが、ほたるは現在の事務所にやって来るまでにも、何度かの移籍を経験している。
そのいずれもきっかけは違ったが、どれも最後には所属していた事務所が倒産し、移籍せざるを得なくなったのが理由だ。
17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:06:07.85 ID:w8NXKRp60
だから、例え移籍先の事務所で疫病神扱いされようと、
また、同僚から腫れ物に触るように接されても、ただひた向きにアイドルとしての活動を続けてきた。
18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:06:38.79 ID:w8NXKRp60
「白菊ほたるといいます……あの、いきなりですが、これまで所属していた事務所が倒産してしまって……」
「それに、どうも私は不幸を呼び寄せるみたいで……知り合いが事故にあったり、同僚がトラブルに巻き込まれたり……」
19: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:07:18.02 ID:w8NXKRp60
その頃になると、業界の中に彼女の運の悪さを知らない者はおらず、そしてほたる自身、この期に及んで
そんな自分を受け入れてくれる移籍先がまだあるとは、思ってもいなかった。
20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:09:30.76 ID:w8NXKRp60
「うん、よろしく……ところで君、ドーナツは好きかい?」
呆気にとられてつい顔を上げると、担当だと名乗った男が自分の座るデスクの上を指差す。
21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:10:06.88 ID:w8NXKRp60
「うちのアイドルがさ、差し入れだって持って来たんだけど……さすがに一人でこの量は食べられなくってね」
「あ、あの……私の話は、聞いてましたか?」
72Res/31.53 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。