26:名無しNIPPER[saga]
2016/02/27(土) 21:06:02.71 ID:887tizks0
たしかに、男の人と女の人が同じ部屋に居ればこういう事をする時もあるのかもしれない。でも、それは普通の人達の場合だ。私と真ちゃんは違う。
“男と女”じゃなくて、“幼馴染”が先にある関係だから。
27:名無しNIPPER[saga]
2016/02/27(土) 21:10:21.78 ID:887tizks0
グルグル回る頭の中が、小さな違和感を覚えて思考を中断する。直に触れられてる部分にばかりに意識が向いてたから今まで気付かなかった。上着が少しづつ脱がされている。真ちゃんの指が器用に動いて、カーディガンのボタンを一つ、一つと外していく。
「あ、あの……真ちゃん?」
28:名無しNIPPER[saga]
2016/02/27(土) 21:14:42.95 ID:887tizks0
なんでだろう……なんで、私にこんな……
考えているうちに、忘れかけていた感覚が心の底から顔を覗かせてきた。晴菜ちゃんが真ちゃんと付き合いだした頃に覚えていた、あの黒い感情がムクムクと胸に湧き上がってくる。
29:名無しNIPPER[saga]
2016/02/27(土) 21:20:17.98 ID:887tizks0
ボタンは全て外されて、上着が軽くはだけさせられている。剥き出しになった鎖骨に真ちゃんの唇が触れると、むず痒いような奇妙な感覚が頭へと駆け上ってくる。真ちゃんの触れる部分がだんだんと顔に近づいていた。たぶん、このまま何もしなかったら頬や…唇も真ちゃんに好きなようにされてしまう。
私は……そんなのは嫌だった。付き合えたらいつかこうなりたいとは思っていたけれど、それはこんな…なし崩しな形じゃない。ちゃんと「好き」って言ってもらって、デートをして……。そういう風に少しずつお互いの距離を縮めていくものだと思っていた。少なくとも、お酒の勢いでいきなり最後の段階から始まってしまうような、そんな恋人の関係は私の思い描いていたものとは全然違う。
30:名無しNIPPER[saga]
2016/02/27(土) 21:26:18.35 ID:887tizks0
………………晴菜…ちゃん?
心臓が強く押されたような衝撃。その後、頭がクリアになるにつれて、最悪の状況に陥った事に気付く。まるで血が凍ってしまったみたいに体が動かない。
31:名無しNIPPER[saga]
2016/02/27(土) 21:30:25.07 ID:887tizks0
声が出ない。ううん……出せない。もう私には真ちゃんの意識をハッキリさせるような行動は何一つできない。
さっき私が想像してしまった最悪の未来。もし真ちゃんが、今自分がしている相手が私だと気付いたら……たぶん、真ちゃんは酷く罪悪感に苛まれると思う。男の人が苦手だった私をいつも気にかけて、守ってくれた真ちゃん。その自分がこんな事をしたと知ってしまったら……もしかしたら真ちゃんは私から離れてしまうかもしれない。私がいくら「お酒のせいだから」「気にしてないよ」と言っても、真ちゃんはたぶん自分を許せない。そういう融通のきかない真っ直ぐさが真ちゃんにはある。
32:名無しNIPPER[saga]
2016/02/27(土) 21:35:27.22 ID:887tizks0
覚えられないためには真ちゃんの動きに身を任せるしかない。それが私の出した結論だった。真ちゃんが晴菜ちゃんとしていると思っているなら、私が晴菜ちゃんの役割を演じるしかない。真ちゃんが覚えていなければそれでいいし、もし微かに覚えていても反抗さえしなければ晴菜ちゃんとしている夢を見たんだと思ってくれるかもしれない……
――無理のある理屈に縋り付かなければいけないくらい、この時の私は最悪の未来を怖れていた。
33:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 12:56:46.13 ID:V4B+uo100
真ちゃんは一旦私に触れるのを止めて顔を上げた。覗き込むように数十p上から私を見下ろしている。暗闇よりも濃い影がそれを教えてくれる。今から何をされてしまうんだろう。受け入れる覚悟を決めていても、やっぱり怖い。真ちゃんの表情が黒く塗り潰されていて見えないから余計に不安が増長していく。
真ちゃんが顔を下してくるのを感じてギュッと目を瞑る。鼻先に微かな感触。真ちゃんの鼻が触れた…?
34:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 13:01:57.39 ID:V4B+uo100
驚いて口を少し開いてしまう。と、隙間からそれが口の中に滑り込んできた。
舌を……
35:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 13:05:23.93 ID:V4B+uo100
急に苦しくなってきて、思わず真ちゃんの胸を軽く押してしまう。真ちゃんは素直に顔を引いてくれた。
唇同士が離れてようやく、荒く呼吸をしている自分に気付いた。息をするのも忘れていたんだ……。それほど夢中になって舌を絡めていた事実に顔が熱くなる。
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