6:くろひ/DAI
2016/02/29(月) 21:02:48.45 ID:XFAvTUJR0
「さーて早速、ゲームのルールを説明したいところなんです、が! 汐音しおね様、汐音妃乃様! 私の話、聞いているのですかー!? 先ほどから全くこちらをご覧いただけていないようなのですがー!」
「……」
汐音と呼ばれる、とにかく強調する女性らしい部分を持つプレイヤー。同じく目立つ金髪ロングや小奇麗なメガネを弄もてあそぶだけで、マスターの呼びかけがまるで聞こえていないような素振りだ。
「あら? 皆さん、私の方を見てどうかしましたか?」
だが、さすがに目線に気づいたのだろう。ようやくプレイヤー達の顔をぐるりと一瞥いちべつした。そうしながら、両耳にそれぞれの手を運ぶ。聞こえていないような素振りをしていたのではない、本当に聞こえていなかったようだ。
なぜなら、
「申し訳ありません。あまりに周りがうるさいので、耳栓をしていました。ピアニストの耳を、汚い声で汚さないで欲しいものです」
というわけである。
声で汚されてしまうということは、いったい普段はどのように生活をしているのだろうといささか疑問ではあるが。
「ルールを聞かなくても戦えてしまいそうなその意気やよし! しかし皆様、どうぞお耳をマンホールのようにして聞いてくださいね!
さて! この『殺し合いハウス』におけるゲームのルールを、1日の流れを説明することでお話します!」
マスターはポインターを取り出し、大型ディスプレイを用いてさらに高らかに話し始める。
「ゲームは10日間行われます。ただし、初日の本日はルール説明のみ、最終日の10日目は結果発表のみですので、ゲームは実質、8日間行われることになっています。
まず皆様は、その日[ピーーー]べきターゲットを指定していただきます。これは非常おぉおおに重要な点ですので、今度はどうぞどうぞ耳をブラックホールのようにして確認してください!」
マスターの適当な戯言はさておき、プレイヤーはディスプレイに注目している。そこには、このようなことが書かれていた。
ターゲット指定はプレイヤーを直接指名するのではなく、プレイヤーに配布してある、@〜Iの番号で指定すること。ターゲット指定は、ルール説明後に案内される個室において、ノートパソコンで指定すること。そのプレイヤー番号は、現状本人にしか分からないこと。その番号は、各自の前に置かれた封筒内にあるバッチで確認できること。
「その個室は防音ですか? 雑音が聞こえるのは勘弁願いたいです」
そこまで説明したところで、とっくに耳栓を仕舞いこんだ汐音が発言した。あいかわらず音に関してはうるさいピアニストである。
「完全防音となっていますので、ご安心ください! また、部屋に入るには皆様ごとに違うパスワードを用いなければなりません。さらに、蹴ろうが拳銃を使おうが壊れない頑強な扉ですゆえ」
「それはよかったですありがとうございます」
マスターの回答に、ここまで気持ちがこもらないお礼は逆に難しいのではというほどの棒読みを、即座に汐音はお返しした。
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