2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/10(木) 22:36:20.60 ID:d6UCRk5P0
――コホンっ。話を元に戻しましょう。
その日、声優アイドルウサミンことわたくし安部菜々は、大きなお仕事が決定した喜びから、行きつけのスーパーで
ちょっと豪勢な夕飯の材料を買い込むと、るんるん気分で駅から出ている電……こ、高速宇宙艇に乗って、
3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/10(木) 22:37:35.58 ID:d6UCRk5P0
「あ、奈々ちゃんじゃない……!」
ウサミンベース管理長……ではなく、アパートの前に立っていた、
顔見知りの大家さんが私の姿に気づき、こちらへと近づいてきます。
4: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/10(木) 22:39:06.07 ID:d6UCRk5P0
「火事になったのが昼間で、住んでる人達のほとんどが外出中だったから、怪我人はでなかったんだけど」
大家さんが頬に手をやりながら、深いため息をつきます。
5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/10(木) 22:40:09.91 ID:d6UCRk5P0
===
さてさて。まだまだ人生の上り坂、その真っ只中にいる私ですが、
これまでだって辛い経験や苦しい逆境には、何度も立たされてきたものでして。
6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/10(木) 22:41:48.61 ID:d6UCRk5P0
「……はぁ〜」
焼け跡を見て湧き上がる、何ともいえないこの気持ち。喪失感とでも、言うのでしょうか?
7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/10(木) 22:43:11.18 ID:d6UCRk5P0
その中には当然、私の私物も混ざっているわけです。
大事にのけていたファンレターの束や、これまでのライブで着た衣装。本格的にデビューするずっと前、
自主活動時代に使っていたあれやこれや……そうした沢山の思い出の品も、何もかも真っ黒になっちゃって。
8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/10(木) 22:45:05.04 ID:d6UCRk5P0
とはいえ、いつまでもこの場所でじっとしていることで、なくなってしまった物が元に戻るわけではありません。
辺りはすっかり暗くなり、焼け跡に入るのも危ないという事で、
無事な荷物――到底、あるとは思えませんでしたが――その確認もできなくて。
9: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/10(木) 22:46:02.31 ID:d6UCRk5P0
ここまで。
10: ◆Xz5sQ/W/66[sage]
2016/03/10(木) 22:50:50.44 ID:d6UCRk5P0
>>3 訂正
×「あ、奈々ちゃんじゃない……!」
○「あ、菜々ちゃんじゃない……!」
×「それが、奈々ちゃんがいない間にアパートで火事が起きちゃって……」
11:名無しNIPPER[sage]
2016/03/10(木) 22:52:56.25 ID:86Yq+2HGO
スレタイは合ってるから偽名で通してるのかと思ってたわ
乙
12:名無しNIPPER[sage]
2016/03/10(木) 22:53:36.50 ID:KaBlDAXxo
乙
面白そう
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