過去ログ - 俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』
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[sage]
2016/03/16(水) 00:54:42.03 ID:WYk72t+X0
一色「…だから、そこはさっき平塚先生が殴ったところですよって、言おうとしたのに」 今更のように一色が付け加えた。
八幡「す、すまん」
俺がもごもごと謝りながらぽっかり空いてしまった壁の穴から腕を引き抜き、身体を離そうとする ――― と
「痛っ」 雪ノ下の口から小さな悲鳴があがった。
見るとその艶やかな黒髪が一筋、俺のブレザーのボタンに引っかかっている。
八幡「 ――― や、ちょ、ちょっと待て、今解くから」
そうは言ったものの、どうやら思いのほか複雑な絡まり方をしてしまったらしく、しかもすぐ近くからかかる雪ノ下の息遣いにテンパってしまって、うまく解けない。
雪乃「…ふぅ。仕方ないわね。由比ケ浜さん、私のカバンに裁縫セットがあるから、ハサミをとってもらえるかしら?」
俺がもたもたしているのを見かねた雪ノ下が、そのままの姿勢、つまり俺の胸にもたれかかった状態のまま、自分の肩越しに由比ヶ浜に声をかけた。
一色「…裁縫道具いつも持ち歩いてるなんて、雪ノ下先輩って女子力高いんですね」 一色がまるで場違いな感想をぽしょりと漏らす。
――― だが、肝心の由比ヶ浜からの返事はない。
雪乃「…由比ヶ浜さん?」
再度、雪ノ下が声をかける。今のこの体勢からでは由比ヶ浜の姿が見えないせいもあってか、その声にはいくらか怪訝そうな響きが含まれた。
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