過去ログ - 【凡将伝】どこかの誰かの話【三次創作】
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524:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.[sage saga]
2016/12/01(木) 23:47:28.08 ID:W6JMEc/Jo
「どう思う?」

雷薄が問いかけたのは紀家軍の軍官僚の頂点にして、大方の揉め事を解決する魔法の使い手。その名を韓浩と言う。

「どう、と言われても困る」

木で鼻を括ったような、愛想の欠片もない返答に雷薄は安堵する。門前払いは避けられた、と。
誤解されやすいが、韓浩の不愛想な対応には悪意やら隔意はないのだ。単に彼女が気遣いとか思いやりという潤滑油を使えないだけなのだ。少なくとも雷薄はそう理解している。
そして、困ったことに雷薄が持ち込む――結構な頻度で――厄介ごとをなんとかするのは韓浩なのだ。そのほとんどを。
そりゃあ頭が上がらないというものである。

「だからよ、若に口きいてくれたらそれでいいって」

そして彼女は四角四面である。いい意味でも悪い意味でも。

「私に話を持ち掛けてきたということは、他にも思惑があると思われる。
 話の内容もそうだが、思惑についても一言あれば伺っておきたい」

ぐぬぬ、と唸る雷薄である。よそ様の、袁家の重鎮の或る意味恥を晒してもいいものかと逡巡する。
だがまあ、韓浩がそこら辺を洩らすことはあるまいと。

◆◆◆

「なるほど。全容について理解した」

ふむ、と頷く韓浩に流石の雷薄が戸惑う。

「いや、あのな。相当生々しいことだしよ。
 やっぱり俺から若に持ち掛けた方が……」

雷薄のその言葉に韓浩は応える。

「今更。別に生娘でもなし。そのような気遣いは無用の事。
 それより雷薄殿の迂闊さは依頼の受領よりもその斡旋に露見する。
 よりにもよって、あの横着殿からの依頼。無下にできないが、扱いには困る。
 その内容が私事ならば尚更のこと」

むむ、と唸る雷薄。その表情にも韓浩は表情を動かさない。

「むしろ、雷薄殿の判断は賞賛されるべきもの。実際袁家の男子で横着殿に意見を言える人材は……いないと言ってもいい」

韓浩の言に雷薄は驚愕する。

「そうなのか?」

「そう。横着殿に意見するとなるとそれなりの地位が必要とされる。
 田豊殿を除くとするならば沮授殿も除かれる。
 そうなれば序列的に考えて紀家の若大将くらいしか該当者はいない。
 ああ、袁胤様については論外とさせてもらう。一気に政争案件になるだろうから」

立て板に水。

「なるほどなあ。じゃあ、若にご足労願わないといかんか。
 いや、自分で言い出したことなんだがな」
「雷薄殿からの言はお勧めしない」

韓浩の言に雷薄は黙り込む。

「じゃあ、誰が若に伝えるとするのだよ」
「僭越ながら私が。至って妥当と思うが」

そう言われれば雷薄に否やはない。心情的なものはさておき、である。

「問題が問題。変な気遣いでこじれるよりは根本的な解決を図るべき。
 前提の情報は非常に大事と思う」

そうして極めて繊細なヒアリングが果たされた。
そうして、極めて厄介な内容が申し送りされることになるのである。


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