343: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 22:51:17.75 ID:bORNzi8VO
永井は手摺にのって、真下にいる“かのじょ”を見下ろした。“かのじょ”は腕を振り上げたが、胡桃のときとちがい、永井にはとどかなかった。死なない者がすでに死んだ者を見下ろす構図は、どこか皮肉を感じさせるものがあった。
永井は“声”をつかった。激しい空気の振動が、“かのじょ”の鼓膜から中耳を突き抜け、わずかに機能している脳に到達した。“かのじょ”が停止したのと同時に、永井は手摺から跳んだ。“かのじょ”の背後に着地した永井は、左腕をつかって、“かのじょ”の頭部を手摺の壁に押さえつけた。つづいて永井は右手にドライバーを握り、“かのじょ”の剥き出しになった脊椎を突いた。流れるような作業で、ためらいを見てとることはできなかった。
344: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 22:53:37.71 ID:bORNzi8VO
地下二階のコンテナ群を前にして、永井は時間のロスを気にした。備蓄物資が多いことにこしたことはないが、現在の状況では、物資の多さはマイナスに作用するからもしれないからだ。
永井はふと、床に目をむけた。床には、血の跡がのこされていた。たどっていくと、医薬品と書かれたケースが床に置いてあった。
345: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 22:55:49.64 ID:bORNzi8VO
バタバタバタバタバタ!
346: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 22:57:35.53 ID:bORNzi8VO
胡桃の身体が激しいひきつけをおこすまで、悠里はかいがいしく世話をしていた。吸引カップに血を吸わせ、傷口をガーゼで覆い包帯を巻いた。悪寒で身体がふるえないように汗を拭き取り、濡れたタオルを額にあてた。
極度の緊張をのみこみ、悠里はつとめて淡々と作業に没頭していた。それ以外、彼女にできることはなかった。だがそれも、胡桃の容体が急変するまでだった。
347: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 22:59:23.90 ID:bORNzi8VO
ーー二階・階段(バリケード)
グオオオ!
348: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 23:01:23.82 ID:bORNzi8VO
美紀「そ、そんな……!?」
永井「僕が始末する。直樹さんはこれを恵飛須沢に投与してくれ!」ブンッ!
349: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 23:04:55.05 ID:bORNzi8VO
ドシュッ!!
350: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 23:07:37.57 ID:bORNzi8VO
黒い幽霊は頭部のなくなった死体の足をつかむとそれを振り上げ、すこしはなれた位置にいる“かれら”にむかってハンマーのように振り下ろした。死体の首の断面が天井をこすり、設置してあった蛍光灯を割った。その破片が“かれら”に刺さるまもなく、“かれら”の身体はつぎつぎに潰れていった。
永井「おい! こっちに血をとばすな!」
351: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 23:09:21.06 ID:bORNzi8VO
美紀「はぁはぁ……」タタタ...
ガラッ!
352: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/14(火) 23:11:06.76 ID:bORNzi8VO
プス...
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