453: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:35:28.53 ID:nHMOffOiO
“かれら”の頭部が雨のように降り注いでくる。地面についた瞬間、“かれら”の頭部はスイカのように割れてしまった。二十を越える切断された頭部が空から落ちてくる。胡桃はへたり込んだまま、頭の雨をただ呆然と見ているしかなかった。
しかし、幽霊の行動はそこでおわりではなかった。黒い幽霊の動作はまだ連続している。幽霊は、こんどはメインローターを真っ直ぐ上に持ち上げた。天に伸びる分厚い剣のうしろで黒い粒子もまた天に昇っている。胡桃は剣が振り下ろされる場所がどこなのか、瞬時に悟った。
胡桃「嘘だろ……っ!」
胡桃の全身の筋肉がバネの役割を果たそうとする。着地を考えない横っ跳び。地面に触れた瞬間、無意識的に胡桃は前転し跳躍の勢いを減らしていく。胡桃の身体が回転し上下逆さまになったとき、メインローター・ブレードが、胡桃がいた場所にあった自動車に振り下ろされようとしていた。
金属同士の衝突音。自動車のフレームは歪むどころか切断され、窓の部分だけではなくライト部分のガラスまで衝撃で割れる。回転している胡桃の身体にガラスの破片がぶつかった。数片のガラスが胡桃の服の隙間に入り込んだ。アスファルトの地面を転がると、ガラスの破片が肌にすり込まれたのがわかった。
転がり終え、うずくまっていた胡桃が身体を起こした。胡桃がいた場所にあった自動車は真っ二つに切断されていた。自動車の向こう側にもうひとつ真っ二つになっていたものがあった。茶髪のロングヘアをした女性の“かれら”が頭から縦に割れて、身体が左右に分かれてバタンと倒れた。
IBM『……僕の責任じゃないからな』ボロッ...
黒い幽霊が姿を消した。手に持っていたメインローターは、幽霊の消滅とともに鈍い音を立てて地面に落ちた。
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