510: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/28(日) 15:09:16.61 ID:jS9uIrpkO
由紀「みーくん、パス」
美紀「え?」
ダンボールの蓋を開けて中身の確認をしようとする美紀に、由紀がボールを投げた。ボールを受け止めた美紀は、はじめ、それが何を意味しているのかわからなかった。手の中でボールを回転させてみると、由紀が汚れを拭き取ったおかけで見えるようになった子犬の歯型が美紀にも見えた。
美紀「これ、太郎丸の……」
由紀「みーくんがうちの部に仮入部して、その次の日だったよね。運動会」
美紀「……はい」
美紀はボールの噛み跡をじっくり観察してみた。そのうち、その噛み跡の存在感は太郎丸の過去の痕跡というよりは、何らかの形で今も存在しているというリアリティを獲得しているように見えてきた。それは、不死の証明なのかもしれない。
由紀「いっぱいあったよね」
美紀「そうですね……あ、これ……」
美紀はダンボール箱に目を戻した。中には卒業アルバムとポラロイドカメラが入っていて、どちらも火事から逃れて無事だった。
由紀「よかった……」
由紀がアルバムをぎゅっと抱きしめた。美紀はその姿をポラロイドカメラで撮影した。撮影音に気づいた由紀が顔を赤くし、美紀に抗議する。
由紀「ちょっ、今のなしっ!」
美紀「いい写真ですよ」
由紀「なーしー!」
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