過去ログ - ゆき「亜人?」
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555: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/11(日) 00:16:54.52 ID:e9pvm4lpO

戸崎「ベトナム戦争終結後、米軍の完全撤退が完了して一年が過ぎた、一九七六年のことだ。その人物の弟がいまだベトナム国内に捕虜として囚われているとの情報を入手した米軍は、彼を佐藤が所属していた特殊部隊に同行させ、ベトナムの奥地まで送り込んだ。そこは、戦争終結後も戦いはまだ続くと信じていた、ベトコンのなかでもとくに狂信的な集団百人ほどが潜伏している地域だった。厳重な警備をくぐり抜け、佐藤らチーム四名は捕虜を救出。あとはピックアップポイントまで後退すればそれで任務はおわるというときだった。発砲ひとつ、わずかな物音ひとつすらたてなかった佐藤が、突然、拳銃を手に取り、引き金をひいた。一発の銃弾が、百人の敵を呼びよせた。おびただしい数の敵との戦闘。なんとかヘリまでたどり着いたものの、チームのひとりは死亡、もうひとりは重傷。佐藤も片足を失った。佐藤が拳銃の引き金をひく直前、チームに同行した彼は、ポーカーフェイスと渾名された佐藤の表情が変わるのを初めて見たそうだ。その表情は、われわれでいう、喜びの表情そのものだった、と彼は語ってくれた」

戸崎「佐藤のテロリズムには、政治的目的も宗教的目的も存在しない。争乱を引き起こすこと、戦いそのものがやつの目的だ。このような事態の渦中であろうと、それでわれわれが滅びようと、やつの本質が変わることはない。佐藤は必ず人類に対して戦いを仕掛けてくる。われわれが生き残るためには、佐藤を止めるより他に選択肢はない」


三たびめの沈黙は、今度は戸崎に緊張をもたらした。黒服は職業的な戦闘者たちだったが、それ故に先ほどの戸崎の説得が、黒服たちが佐藤との戦闘を放棄する理由にもなりえた。戸崎の体感時間は引き延ばされ、賽の目が出るには長すぎる時間を口を結んだまま、無言で耐えていた。実際に黒服たちが結論をだすのにかかった時間は一分ほどで、それは相談というかたちをとることはなく、一人ひとりの裁量による決断だった。最初に口を開いたのは、平沢だった。


平沢「戸崎さん、おれはあんたの命令通りに動く。それ以外にやるべきことはない」



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