過去ログ - Iriya/Emotion into the sky
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7: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:04:57.45 ID:3u2qsoVw0
 これが、自由……なのだろうか? そう、きっとそう。

 私たちの誰もが、自由をその全身で感知した。教官のイエスタデイ、小煩いバートランド、榎本に椎名だって

この空を悠々と縦横無尽に飛び回る私たちには、今は手を出せない。そう、思えた。
以下略



8: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:05:54.76 ID:3u2qsoVw0
 でも、結局のところ、私たちはどの点から検討しても自由とは程遠い状態にあった。

鎖を繋がれ、鎖の長さの分だけ私たちは自由のフリをすることができていただけ。その事実に気づくのに、それほどの時間はいらなかった。

真っ先に誰が、この事実を口にしたのだろうか、今ではもう判然としない。
以下略



9: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:06:21.16 ID:3u2qsoVw0
どうして私たちは、戦っているのか? 何のために戦っているのか? 

これは、誰を守るための戦いなのだろうか?



10: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:07:26.60 ID:3u2qsoVw0
みんな、目的を持てずにはいられなかった。どうして? 何のために? なぜ?

生きているのだから、心があった。心があるから、考えることは止められなかった。

ベッドに腰掛けているとき、舷窓から輝くダイヤモンドのような海原を眺めているとき、わたしはどうしても意味を求めてしまっていた。
以下略



11: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:08:32.79 ID:3u2qsoVw0
「僕がみんなを守るよ、だからみんなも僕を守ってくれ!」

 ディーンがみんなの輪の中でそう言ったとき、わたしは本当に、これ以上にないぐらい嬉しかった。

そうか、これがわたしの意味なんだ。戦いの理由なんだ。辿り着くべき答えはこれだったのだ、と。
以下略



12: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:09:17.23 ID:3u2qsoVw0
コックピットの縁に吊るしてある浅羽袋が目に止まり、鼻腔がじんわりと熱くなる。

唇を伝い、顎を滑って膝の上に落ちる血の雫。鉄の味、生の味、わたしは生きている。


13: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:10:21.83 ID:3u2qsoVw0
ジェイミーが死んで、ディーンにエンリコ、そしてエリカ……わたしはもう意味を喪失していた。

わたしはわたしを失ってしまっていた。ブラックマンタに搭乗して、出撃して、たった1人だけでソレと戦う日々

訓練のゲームと実戦、その頃のわたしには明確な境界が消失しかけていた。
以下略



14: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:11:29.52 ID:3u2qsoVw0
 ただただ時間だけが流れ、遂行されていった作戦の記録が、わたしが生きている証拠のように整然と並んでいる。

鼻血が溢れる頻度が増え、突然意識を失ってしまうこともあった。

不安はない。冗長気味の口調のエリカのおかげもあったかもしれない。
以下略



15: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:12:19.94 ID:3u2qsoVw0
「私たちはイリヤを待ってるよ。仲間はずれなんかにしない。でも、聞いてイリヤ。

イリヤも戦って死ぬの。戦って戦って、そして最後にあっ、てなったその瞬間に死ぬの。

自分から死んだりしちゃ、私たちとは違う形になってしまうから、それはダメ」
以下略



16: ◆KM6w9UgQ1k[saga]
2016/03/22(火) 22:13:07.65 ID:3u2qsoVw0
『名前は?』

『いりや』

『――泳げないの?』
以下略



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