過去ログ - 高槻やよい「思い出はもやしと共に」
↓ 1- 覧 板 20
16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 05:00:34.92 ID:K/5XZl+00
しれっとした伊織の態度に、俺の涙腺がゆるむ。
なんだこれは? まるでいじめっ子といじめられっ子の関係ではないか。
悔しいかな、こういうところは出会った頃からいつまでも変わっていない。
しかも、今回の伊織の暴挙は、愛する妻のお墨付きなのだ。
これでは、俺も怒るに怒れないじゃあないかぁ!!
「もうお前帰れよっ! 風邪なんだろ? 病欠したんだろっ!? そんなに顔が赤いって事はこりゃ熱も相当だなー!
今から病院連れてってやるからそのまま入院しちまえよコンチクショーっ!!」
「バカねぇ、だから体を冷やさないよう、こうしてお酒を飲んで温まってるんじゃないの」
結局、俺にできるのは子供のように悪態をつくだけ。だがそれも、伊織には風のように受け流される。
するとそんな俺達のやりとりを聞いていたはづきが、心配そうに顔を上げると、伊織の膝に座ったままで彼女にたずねた。
「……伊織お姉ちゃん、お熱なのー?」
「そうなのよはづきちゃん……実はお姉さん、ちょっと体の調子が悪くって……こほっ、ごほっ……あぁっ!」
伊織が大げさに咳き込むと、わざとらしく頭に手をやってから、座ったままの姿勢で体を横に倒す。
そうして自然と膝から下ろされる格好になったはづきが、
カーペットの上に横たわる伊織の体をゆさゆさと揺さぶりながら俺に言う。
59Res/37.46 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。