47: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:23:35.12 ID:vxIFxQsM0
あっという間に時間は過ぎ、ライブ当日に至る。
観客の動員数は上々だった。
48: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:25:09.70 ID:vxIFxQsM0
控室で待機していると、誰かが扉をノックした。
扉を開けると、その先にはまだ高校生ぐらいの女の子が緊張した面持ちで立っていた。
少女の後ろには、彼女の担当プロデューサーらしき女性がにこにこと笑いながら控えている。
49: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:27:09.95 ID:vxIFxQsM0
P「そっか、まあとにかくありがとうね。おーい、高峯」
部屋の奥に向かって声を投げかけると、すぐに彼女は現れた。
前川と名乗った少女は、彼女の姿を見ただけで怯んでしまった。
50: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:28:36.62 ID:vxIFxQsM0
結果だけいうなら、その日行われたライブに高峯のあは、惜敗した。
51: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:29:49.86 ID:vxIFxQsM0
その日、すべてを終えて事務所に帰りついたときには、午後十時をまわっていた。
荷物を置くなり、普段は近寄ることさえしなかったソファに腰掛けた彼女を見て、どう声を掛けたものかと少し悩んだ。
52: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:30:57.48 ID:vxIFxQsM0
P「そうだな。俺も客席で見ていて、ミスはなかったと思う」
P「それに、前川さん、だったか、彼女のライブも見たが、正直なところ完成度でいえばお前の方が上だった」
53: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:33:03.46 ID:vxIFxQsM0
のあ「……楽しい、とは、」
P「言った通りの意味だ。楽しみながらアイドルができているか?」
54: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:37:51.94 ID:vxIFxQsM0
P「……俺はな、高峯。お前が心配なんだ」
P「お前がトップアイドルになりたいという気持ちはわかる。そのために努力を欠かしていないことだって、」
P「常に意識を強く、高く持ち続けているのは、たしかに評価するさ」
55: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:42:02.80 ID:vxIFxQsM0
P「しかし、俺が楽しめと言ったからといってすぐに楽しめるようなら苦労はないが、恐らくそれは難しいだろう」
P「俺がお前に願いたいのは、もう少し心を開いて、周りのみんなと接してほしいってことだ。そこからでいい」
56:名無しNIPPER[saga]
2016/03/25(金) 02:47:29.92 ID:vxIFxQsM0
表ではそう言いながら、内心で俺は自分自身に吐き気がした。
どの口がそんな綺麗事を抜かしやがる。
57:名無しNIPPER[saga]
2016/03/25(金) 02:49:30.02 ID:vxIFxQsM0
彼女はまた暫く黙りこんで、やがて小さく頷いた。
のあ「……努力してみる」
P「うん、」
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