過去ログ - 【ごちうさ】指先の熱
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1:名無しNIPPER[saga]
2016/03/25(金) 23:39:35.97 ID:9DYlLVoM0
喧嘩の原因は、ささいなことだった。
それでも、昨日の今日で素直に話せるような大人にもなりきれない。
なのに、どうして、この人は。

「ココアさん……」

私のベッドに寝そべっている自称姉を、寝ぼけ眼で見やった。
やけに熱いと思った。
人一人の体温がベッドを温めていたのだ。
いつの間に、この部屋に入ったのだろう。
時々、忍者のような身のこなしをする。
本当に、驚く。
起こすべきか。
否か。
起きたら、何かまた甘ったるい言葉を浴びせられそうだ。

「あの、困ります」

小声で呟いた。

「んー」

憎たらしいくらい微笑みを浮かべ、眠っている。
このままベッドから突き落として、そこの狭い溝にはめてしまおうか。
どうしようか。
肩を少し、押してみた。

「うん……ん」

唸る。
困った。
何より困ったのは、彼女が私の手をしっかり握っていたことだった。

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2:名無しNIPPER[saga]
2016/03/25(金) 23:46:56.75 ID:9DYlLVoM0
例え、彼女を落としても自分も一緒に道連れになる可能性が高い。

「ほんと、困ります」

ため息。
以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2016/03/25(金) 23:53:26.75 ID:9DYlLVoM0
勘弁して欲しい。
音を立てないように、ホットパンツを拾いあげる。
ちょっと温かいのが、生々しい。

「どうしましょうか……」
以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2016/03/25(金) 23:56:12.53 ID:9DYlLVoM0
眠いのでここまで
また明日


5:名無しNIPPER[sage]
2016/03/26(土) 02:17:32.18 ID:gMR30RL6O
ココチノ〜


6:名無しNIPPER[saga]
2016/03/26(土) 23:23:54.82 ID:mgGQfxUL0
「落ちついてください。確かに怒ってますけど、それで人の衣服をはいだりしません。ココアさんじゃあるまいし」

「私だって、しないもん!」

「なんでもいいですから、早くはいてください……みっともないですよ」
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/03/26(土) 23:35:03.19 ID:mgGQfxUL0
語気を強めて言うと、渋りつつもココアさんは手を離した。

「チノちゃんのベッドはぐっすり眠れるねー」

「それはどうも」
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2016/03/26(土) 23:44:19.84 ID:mgGQfxUL0
「先に降りますから」

背中にココアさんの泣き言を浴びながら、私は部屋を後にした。
ココアさんに構っていたら、朝の支度が遅くなってしまう。
全く。
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/03/26(土) 23:55:49.63 ID:mgGQfxUL0
それこそ、ココアさんのことだってささいなことなのに。
昨日はお客さんもいなかったので、買い物から帰ったら、二人で新作パンケーキを考える時間にしようと決めていた。
いつもだったら思わないけれど、お客さんが来ないようにと願っていた。
なのに、当の本人はいつまで経っても戻って来ない。
事故でもしたのかと、転んだんじゃないのかと、とても心配した。
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 00:07:26.95 ID:0/GHUJB/0
それに。二人きりになる必要なんてない。
みんなが揃った時に、アイデアを出し合ってもいいと思う。
ココアさんと考えるより、そっちの方がよっぽど素敵なパンケーキが作れそう。

「あ」
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 00:13:28.47 ID:0/GHUJB/0
今日はここまで
おやすみ


12:名無しNIPPER[sage]
2016/03/27(日) 01:35:54.24 ID:htimW6too
乙やで


13:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 20:40:29.15 ID:0/GHUJB/0
「チーノちゃんッ、ふふふッ」

後ろから抱き付いてくる。

「邪魔です危ないです。……邪魔です」
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:09:12.65 ID:0/GHUJB/0
見惚れたと言っても、笑顔にということで、
決してココアさんに見惚れたとかそう言うことではない。

朝の時間は多少ココアさんのせいでバタつくことになった。
軽い言い合いをしながら、駆け足気味で二人別々の学校へ向かった。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:23:06.08 ID:0/GHUJB/0
HRでは案の定その子の話題となった。
先生の話では、家庭の事情で引っ越しするらしかった。
本当の所は分からない。
その子に聞いてみでもしないと。
けれど、自分の親のことを根掘り葉掘り聞かれるのはきっと嫌だと思う。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:32:33.00 ID:0/GHUJB/0
いつの話をしているのか、記憶を遡ろうとした。
けれど、すぐに彼女がもっとこちらの度肝を抜くような事を言った。

「あんた、変わった。最近楽しそう。いいね、羨ましい、羨ましくて、羨ましすぎて憎い。あんたも同じようになっちゃえばいいのに!」

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:46:06.00 ID:0/GHUJB/0
教室に戻ると、その子は早退していた。
マヤさんにもメグさんにも、制服がビショビショになっていることを言及された。
とっさに、顔を洗ったらかかり過ぎてしまったと話した。
二人とも心配しつつ、呆れながら笑っていた。

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:53:30.09 ID:0/GHUJB/0
駆け寄って抱き着こうとしてきたので、下方に避けた。

「うええ?」

困惑顔。
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:06:11.66 ID:0/GHUJB/0
「私が聞いてもいいことかな?」

柔らかく笑う。
そっと、私の手を握りしめた。
けれど、私は首を横に振った。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:15:34.36 ID:0/GHUJB/0
その夜、目を閉じてから暫く寝られなかった。
その日、月は空のずっと上の方にあった。
窓からは見えない。
ちょうど天上の真上あたり。
それを思い描きながら、目を瞑り続ける。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:30:01.00 ID:0/GHUJB/0
空の向こうの世界は、太陽よりも月よりももっとずっと遠くにあって。
朝が来ても夜が来ても、何度日が巡っても、決して私のいる場所と混じり合うことはない。
この木組みの街は、幸せに溢れている。
それに憧れて来る人もいれば、手にできずに去る人もいる。
母は、手にして去っていったのだろうか。
以下略



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