11: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 13:47:41.50 ID:4HWhAH1h0
ソファーから立ち上がった春香が、備えつけの給湯室へと消えていく。
そう、彼女の言うとおり、僕らは事務所を出る事ができなかった。
ここの窓には、鍵がない。閉めっぱなしにしたままで、開くための取っ手が消えていた。
12: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 13:48:35.43 ID:4HWhAH1h0
不思議な話だが、世の中は不思議で作られている。
不思議で作られているのだから、不思議な事が起きたとしても、それはなんら不思議ではない。
結局のところ、僕らはのたくたと時間を過ごすところに落ち着いた。
13: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 13:50:07.32 ID:4HWhAH1h0
「これで時間が潰せますね」
春香が、冷めた瞳で言い放つ。僕はわくわくしながらリモコンを受け取ると、
ソファーの隣、台の上に乗せられたテレビの前へと向かう。
14:名無しNIPPER[sage]
2016/03/27(日) 19:19:34.25 ID:dWBAtM1o0
モバ付けろカス
15: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 19:23:20.81 ID:4HWhAH1h0
===
雪が積もって真っ白になった景色の事を、一面の銀世界と言うならば、
視界を埋めるこの真っ白な書類の事も、一面の銀世界と言えるのではないだろうか。
16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 19:24:40.93 ID:4HWhAH1h0
書いても書いても、色はつかない。
そうだ、だからこの書類は真っ白なままなのだ。
無意味な事をやっている。
17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 19:25:54.39 ID:4HWhAH1h0
僕はどこからともなく取り出したスコップを使い、そこに雪だるまをこしらえてみた。
ひとつ、ふたつ。
18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 19:26:46.78 ID:4HWhAH1h0
「どうしました?」
「あぁ、スコップの柄が折れてしまってね」
19: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 19:28:15.37 ID:4HWhAH1h0
振り向くと、春香がそこに立っていた。
そしてここは事務所であり、雪の積もる銀世界では決してない。
20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 19:29:04.31 ID:4HWhAH1h0
===
「春香」
僕は書類に隠されていた、蝶々のようなリボンを彼女に手渡す。
21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 19:29:30.42 ID:4HWhAH1h0
「今、何時だい」
「ちょうど、お昼です」
27Res/8.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。