過去ログ - 南条光「球と隠し事と知りすぎる罠」
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13:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 18:35:20.98 ID:4tTsYEvS0

「P……面白かった……」

雪美ちゃんはマンガを数冊取りだし、デスクに重ねて置いた。

少女マンガとは別の意味で先鋭的な、テニスが題材の有名なマンガだ。

「うわぁ、面白っ、そっ、ううんっ!?」

あくまでいつも通りの風体を装うつもりだったのに、勝手に声が上ずった。

机の上の物を見るために、重心を少し動かしただけで快感が走ったのだ。

「……光……かぜ、ひいた……?」

勝手に悦んでる女の子の部分を気合いで抑えつけるアタシの目を、雪美ちゃんが怪訝そうに覗いた。

明らかに、怪しまれてる。上気した顔が、きっと熱が出たみたいに赤いのだろう。

「心配させちゃって、……ひっ!」

急に奥を円を描くみたいに撫でられた感触がして、目玉の裏に白いインクがバラまかれた。

その快感はほんの一瞬でしかないけど、目が明滅するような感覚は焦燥を煽る。

勘違いであって欲しいけれど、身体が少しだけ揺れてる気がする。

もしかして彼はこんな緊急事態なのに、腰を動かして状況を楽しんでるのだろうか。

「光……?」

「ごめんね。でもっ、だ、だいじょうぶっ……だからっ!」

もしそうだとしたら、いくら何でも勝手すぎだ。

職場でエッチするだけでも非常識なのに、バレたら終わりの分水嶺で興奮に流されるまでしたら、もう狂ってしまってるのと同じだ。

彼が欲望ばっか刺激されて思考停止してしまってる場合、気を抜いた瞬間にアタシの身体を持ち上げて、粘液を撒き散らしながら往復する性器を見せつけようとするかもしれない。

絶望に等しい恐れを表向き隠し通せたのは、想いに蓋する経験を積んだお陰か。

マンガの返却だけでこの部屋でのお仕事は終わったみたいで、偶に鼻をスンスン鳴らしながらも、雪美ちゃんは入り口に戻っていった。

ドアノブに雪美ちゃんの手がかかった時、アタシは安心しきって息を吐いた。

その瞬間に合わせたみたいに彼女がクルッと一回転し、惚けたアタシの目を見つめた。


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