過去ログ - 【モバマスSS】香水 あるプロデューサーの物語
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名無しNIPPER
[saga]
2016/04/02(土) 22:49:02.82 ID:zCk6PcLr0
慶は、奈緒の握手会を三日後に設定している。地味かもしれないが、無名に等しい奈緒には、ファンと身近に接するイベントは何よりも大事である。
基礎をしっかりと築いていれば、その上にどれだけ物を載せても揺るがない。しかし、基礎を堅牢にしないうちに上に積み上げてしまうと、累卵の危機となってしまう。そうなると、後から基礎を築きなおそうをしても遅い。
百人のファンを千人に増やすのは厳しいが、千人のファンを一万人に増やすのは難しくないし、一万人のファンを十万人に増やすのはもっと容易いということだ。
「いいか、奈緒。どんなトップアイドルだって、最初から万人に知られた人気者だったわけじゃない。地道に仕事をこなし、下積みを経験したからこそ、今日に多くのファンを勝ち得ているんだ。今はどんな仕事も、将来の自分の糧になると思って全力でやれ」
「目の前の仕事が、将来の糧か……よし!」
奈緒の目が、真剣そのものになっている。
駆け出しのアイドルには、余計なことを考えさせずに、目の前の仕事に全力で取り組ませるのが良い。
そして、仕事に集中して周りが見えなくなっているアイドルをフォローするのが、彼女のプロデューサーたる自分の仕事なのだ。
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