過去ログ - 【モバマスSS】香水 あるプロデューサーの物語
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81:名無しNIPPER[saga]
2016/04/04(月) 20:29:05.78 ID:0cF8uTc50



 慶は左手にウイスキーボトルを持ち、グラスを持った右手で、志希の部屋のドアをノックした。部屋の主がいようがいまいが、返事は無いと知っているので勝手に入る。
 志希は作業台に向かって、何かこまごまと作業をしていた。慶は近くの机の上にボトルとグラスを置き、椅子を引き寄せて座った。
 ウイスキーを置いた机の上には、小壜が二つ無造作に置かれていた。小壜にはそれぞれ、「Amor et Psyche」、「Neapel nacht」と書いたラベルが貼られている。
 慶はコルク栓を抜き、ウイスキーをグラスに注いだ。氷や水を用意するのが面倒なので、ストレートで飲むことにする。

「今日は……ボウモアの十五年かな。どう、当たってる?」

 志希が、作業を続けたまま言う。香りだけで銘柄を当てるのはさすがだが、いまとなっては別段驚きもしない。
 しかし、慶は彼女の嗅覚に敬意を表し、とりあえず賛辞を送った。

「ご名答。お前なら、今日の俺の昼飯まで当てられるんじゃないか?」

 慶はグラスを傾け、ボウモアを一口舐めた。心地よい痺れが舌に触れ、次に柔らかなピートが鼻腔をくすぐる。最後に、繊細な余韻が口の中に残った。



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