過去ログ - 【ガルパン】西住しほ「おかえりなさい」
1- 20
42: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:21:15.34 ID:RVCvaGcC0

しほ「(少し頭に血が上っていたようね、帰って頭を冷やしましょう。みほの学校もここで敗退でしょうし、終わってからあの子と今後を話せばいいわ)」

しほ「帰るわ、こんな試合時間の無駄(極端な自分の思考が恥ずかしくなってきたわ)」

以下略



43: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:23:17.06 ID:RVCvaGcC0

 思考が冴え始め自分を省みて恥ずかしくなり早く帰りたかったのだが、まほはまだ何かを待っているようだった。これでお仕舞と結果を予想していたが、まだ続きがあると娘は読んでいるのである。戦車乗りとして先の展開を見通す力があると自負しているし、まほもそれは十分わかっているはずだ。
その上で私が終わりと言った試合に続きがあるとこの子が言うのである。この子が私に意見することはそう多くないことだ。であればそれは尊重するべきであろうと思う。まほはみほに私の知らない何かを見出しているのだろうか。
 
 その見出したものを知る為に、再び腰を下ろしモニターへと視線を戻す。
以下略



44: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:26:53.21 ID:RVCvaGcC0

 膠着状態から大きく試合が動き出した。大洗が包囲の中から飛び出したのだ。敵の思惑に乗ったと見せかけて、そこからの意表を突く作戦は大いに成功した。後続による再包囲も38tの陣形内への飛び込みで崩してみせた。これには正直驚いた、まさか包囲網から突破できるとは思わなかったからだ。
そうして包囲網から抜けると、暗さに乗じて相手を出し抜き2両で敵フラッグを討ち取った。
 まほの読み通り試合は続き、そして大洗が勝った。しかしまほはみほには何かがあると言外に伝えてきていたが、今回は相手が舐めて油断をしていたから得られた勝利だろう。



45: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:27:34.93 ID:RVCvaGcC0
しほ「勝ったのは相手が油断したからよ」

まほ「いえ、実力があります」

しほ「実力?」
以下略



46: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:32:11.93 ID:RVCvaGcC0

 はっきりと勝利を宣言し、まほはモニターに映るみほを見つめている。チームと喜び笑い合うあの子を見て、まほの表情は険しいものになっていた。
あんな笑顔は久しく見ていない、黒森峰に居た頃あの子は笑っていただろうか。自分と似ていて全て理解できている、そう思っていた長女も私とは違う考えを持っていた。今の妹を見てこの子は何を思っているのか。試合中なら相手の考えを読めるのに、戦車から降りると私は何も見えなくなる。
 いや違う、この試合展開は読めていなかった。自分は西住の体現者だと自負していたのに、結局みほを見ている時の私は家元でなく母親としての私情を挟んで見ていたようだ。私は中途半端だったのか。これまで生きてきて気がつかなかったが私は考えすぎると却って悪くなるらしい。
 西住流や母としてどちらの自分も上手く扱えない。であれば決勝戦は戦車に乗った時のように試合以外の事は考えない、ただ純粋な戦車乗りとしてあの子達を見よう。自分の甘さを反省し今まで娘として、指導する弟子として見ていた娘達を今一度見定めよう。考えがまとまると重くのしかかっていた憑き物が取れたような気がした。
以下略



47: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:36:26.00 ID:RVCvaGcC0

――――――――――――――――

 完璧な『西住』として振舞おうとしていたのは、『西住』であれと強く意識していたからだと気がつけた。本当の体現者なら考えるまでもなく、その振る舞いが全て『西住』となるはずなのだから。
 私は娘達だけでなく自分の事もわからなくなっていたみたいだ。家元を襲名しその名前の重さとプロリーグと世界大会に関わる大役は、知らないうちに私を追い込んでいたようだ。
以下略



48: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:39:40.06 ID:RVCvaGcC0

―――――――――――――――――

【決勝戦:黒森峰―大洗戦会場(東富士演習場)】

以下略



49: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:41:16.42 ID:RVCvaGcC0

 試合が始まる。元は自分の所属したチームであり、身に染みている西住流に忠実な黒森峰である。その戦法は完全統制された陣形による包囲からの圧倒的火力による短期決戦だ。例えそれを知っていたとしても崩すのは容易ではない。みほは確実に正面戦闘を避けるだろうが、そこからどう動くか。数の優位性を殺すために地形を利用するのはまず間違いないだろう。
 対するまほもみほに手が割れていることは承知のはず、策があろうとそれを実行させる前に終わらせようとするだろう。接敵の状況がどちらの思い通りになるかで、試合運びは決まると予想を立てた。
 モニターの黒森峰の動きを見てまほも自分と同じ考えだと理解する。虚を突かれるであろうみほの対応力が試される。



50: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:43:47.48 ID:RVCvaGcC0

 まほが取った作戦は単純なものだった。おそらくみほが利用するであろう経路に最短で迎うためショートカットを用いたのだ。しかしその抜けてきた地形は視界の悪い、加えて樹木の生い茂る森。早期の接触を考えるとしてもこのマップの森林は大抵迂回を選択した方が、早く進める。それはこのマップの森林は障害物となる上に、鬱蒼とした木々による視界不良で並みの走行技術では却って時間をくうものだからだ。一部の熟練者だけが抜けてもそれでは敵を殲滅できないので意味がなく、故に森を抜ける選択は大抵のチームはしないだろう。みほもそう予想していたのだろう。
 しかしこのチームは黒森峰だ。全ての乗員がそれを可能とするだけの技術を持ち、その森林を陣形を保ったまま全速で突き通って来たのである。そうして見事に側面をとったのである。
 
しほ「(これが黒森峰と西住流よ、みほ。並みのチームと同じに考えているようでは到底かなわないわ)」


51: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:46:30.04 ID:RVCvaGcC0

 陣形は乱れフラッグ車は守られていない。既にティーガーUはみほのフラッグ車に砲塔を向けていた。ここで終わるのかに見えたが、しかしそれを察知したのか三式が全速後退し盾になるように射線に飛び込んだ。咄嗟の判断で身を挺して庇うとは大したものだと感心する。大洗は新設されたチームだと聞いていてプラウダ戦を見ても、まだまだだと思っていが経験が不足しているだけで個々の能力は高いのかもしれない。
 三式を犠牲にしつつも他車両は無傷で離脱に成功してみせた。みほは虚を疲れても動じず冷静に指示しているようで、まほの言うとおり対応力は中々のようである。

 さて方角からしてみほが目指しているのは高台にある丘のようだ。高地に陣取り上から砲撃するのだろうが、却って的になるのではないか。それにまほが登頂をよしとするとは思えない。
以下略



52: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:47:20.61 ID:RVCvaGcC0

しほ「(煙幕によって被弾率を下げるつもりなのかしら、でも目的地がわかっているならば煙幕の切れ目を狙えばいいだけであまり意味がないわね)」

 Pティーガーがいる時点で早急な登頂はできないでしょう。まほもそれを読んで無駄な砲撃をせず煙幕が晴れるのを待っているようだ。ところが晴れてみると
大洗は山頂付近まで上り詰めているのだから驚きだ。
以下略



205Res/101.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice