過去ログ - 【ガルパン】西住しほ「おかえりなさい」
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50: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:43:47.48 ID:RVCvaGcC0

 まほが取った作戦は単純なものだった。おそらくみほが利用するであろう経路に最短で迎うためショートカットを用いたのだ。しかしその抜けてきた地形は視界の悪い、加えて樹木の生い茂る森。早期の接触を考えるとしてもこのマップの森林は大抵迂回を選択した方が、早く進める。それはこのマップの森林は障害物となる上に、鬱蒼とした木々による視界不良で並みの走行技術では却って時間をくうものだからだ。一部の熟練者だけが抜けてもそれでは敵を殲滅できないので意味がなく、故に森を抜ける選択は大抵のチームはしないだろう。みほもそう予想していたのだろう。
 しかしこのチームは黒森峰だ。全ての乗員がそれを可能とするだけの技術を持ち、その森林を陣形を保ったまま全速で突き通って来たのである。そうして見事に側面をとったのである。
 
しほ「(これが黒森峰と西住流よ、みほ。並みのチームと同じに考えているようでは到底かなわないわ)」


51: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:46:30.04 ID:RVCvaGcC0

 陣形は乱れフラッグ車は守られていない。既にティーガーUはみほのフラッグ車に砲塔を向けていた。ここで終わるのかに見えたが、しかしそれを察知したのか三式が全速後退し盾になるように射線に飛び込んだ。咄嗟の判断で身を挺して庇うとは大したものだと感心する。大洗は新設されたチームだと聞いていてプラウダ戦を見ても、まだまだだと思っていが経験が不足しているだけで個々の能力は高いのかもしれない。
 三式を犠牲にしつつも他車両は無傷で離脱に成功してみせた。みほは虚を疲れても動じず冷静に指示しているようで、まほの言うとおり対応力は中々のようである。

 さて方角からしてみほが目指しているのは高台にある丘のようだ。高地に陣取り上から砲撃するのだろうが、却って的になるのではないか。それにまほが登頂をよしとするとは思えない。
以下略



52: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:47:20.61 ID:RVCvaGcC0

しほ「(煙幕によって被弾率を下げるつもりなのかしら、でも目的地がわかっているならば煙幕の切れ目を狙えばいいだけであまり意味がないわね)」

 Pティーガーがいる時点で早急な登頂はできないでしょう。まほもそれを読んで無駄な砲撃をせず煙幕が晴れるのを待っているようだ。ところが晴れてみると
大洗は山頂付近まで上り詰めているのだから驚きだ。
以下略



53: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:49:50.32 ID:RVCvaGcC0

 大洗は各車両をワイヤーで連結する事でPティーガーの速力を補助したのだ。これには正直驚いた。さらに立て続けに煙幕を炊くと車両と山頂部を広く隠してきた。広範囲に広げた白煙にみほが何かを仕込んでいると察したまほは、榴弾にて煙を吹き飛ばした。そこに顕になったのは山頂部に土壁を盛り、高地から見下ろす形の稜線射撃を可能とする陣形だった。丘を取り囲むように展開する黒森峰だったが、これを崩すのは時間が掛かかるだろう。
大洗は高台から一方的に砲撃ができ、土壁により車両の半分は隠されて守られていた。加えて重戦車を運用してきた黒森峰は丘を上がるのに時間がかかる。
 よく考えたものだ。ここまでこの戦力差で有利に立ち回れるとは思いもよらなかった。
 


54: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:51:45.20 ID:RVCvaGcC0

 それでもまほは動じることなく装甲の厚い重戦車を盾にし、じわじわとその距離を詰めていく。対応力に優れているのはみほだけではないのだ。
 しかしみほの作戦はまだ終わらなかった。別働隊として先程速力を削ぐ妨害を行っていたヘッツァーが、ようやく丘の中腹を超えた黒森峰の車両間に飛び込んできたのだ。まるで煽るかのように車両間を走り回る。撃破しようにも同士打ちを恐れて砲撃できず、その隙に大洗の本隊から射撃で討ち取られる。陣形は乱れ大きく混乱していた。
 それに合わせるように一際大きく乱れた箇所を、まほと同じように重戦車のPティーガーを盾としながら大洗全車が全速で下っていく。あっという間に包囲陣形を抜けて颯爽と逃げていってしまった。気が付けばヘッツァーも居らず完全に出し抜かれていた。



55: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 12:54:09.58 ID:RVCvaGcC0

 奇策の連続に加え追い詰められたところからの大脱出に会場は沸いていた。圧倒的な脅威に対して臆することなく、むしろ絡めてを用いて翻弄するみほに私は感嘆した。西住流としてではなく自由に指揮するあの子の実力を垣間見て、ここに来てようやく今までの彼女への評価を改めたたのだった。
そして同時にこの子が黒森峰に残り、高火力の戦車軍を自由に指揮していたらどうなっていただろうか。みほを改めて見直したことで、一人の戦車乗りとしてのみほを私は素直に認めることができた。



56:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 13:31:47.68 ID:OePaPVWq0
続けよう


57: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 14:45:51.64 ID:RVCvaGcC0
 逃走を計る大洗は黒森峰の重戦車運用を逆手に取り、足場の悪い悪路をあえて走り回った。その結果追撃隊は足回りのトラブルにあい、転輪が外れてしまう。
これではまほの率いる体制を立て直している本隊と合流してからの追撃しかないだろう。
 その間に大洗は距離を取るため、通常迂回するであろう川を横断するようだ。流れが強いように見えるが、車両の重さ等を考慮し下流の戦車が流されないように編隊して進むようだ。突飛だが決して無謀じゃない策である。これなら難なく渡れるだろうと見ていたら、M3が停止したのだ。つくづくあの子は水難に見舞われるらしい。
 当然のように私はM3が走行不能になったものと考え、みほも先を行くものだと思っていた。ところが大洗車は全車両停止し始めたのだ。

以下略



58: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 14:46:45.92 ID:RVCvaGcC0


 おもむろに4号からみほが飛び出すとワイヤーを体に縛り戦車を渡りだした。4号はフラッグ車であり、その上みほは隊長なのでは無いのか。
誤ってここで脱落すればチームが終わってしまう。指揮官が自ら危険に飛び込むなど私には考えられなかった。


59: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 14:49:17.84 ID:RVCvaGcC0

 しかし飛び移るみほの表情はどこまでも真剣で、これこそが正しい私の在り方なのだ。そう語っているように見えた。やはり彼女は『西住流』ではないのだろう。万が一の事故の可能性を見過ごせず、なにより尊ぶは仲間であるとする姿勢。黒森峰では有り得ないものだ。
 だがその在り方は仲間に正しく浸透し、共感を得ているのだろう。昨年のあの試合でみほが飛び出したフラッグ車は、残った乗員は何もできず討ち取られた。対して大洗はみほが抜けたフラッグ車をはじめとする各車両が砲塔を旋回し、迫り来る黒森峰を威嚇射撃し、みほの援護と自主的な防衛を行っている。
互いに仲間を思いやりそれを重んじる。それがモニター越しにでも伝わってきていた。まったく異なる戦車道だ。
 
以下略



60: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/03(日) 14:51:15.14 ID:RVCvaGcC0

 M3を連れ出し無事に全車両で逃走すると、みほ達大洗は市街地へと向かうようだ。道中に橋を落とすという新技も使い十分に距離は確保出来ている様子。
 しかし黒森峰にはまだアレがある。まほが市街地へあらかじめ回しておいた秘密兵器が。絶対的な装甲を誇り、一撃でなぎ払う超重戦車マウスである。
障害物だろうとお構いなしに吹き飛ばすその戦車をどう引き付けるのか、この戦車を押さえ込めなくては大洗は絶対に勝てないだろう。
無力化に時間をかければ本隊も合流する。一人の選手と認めた今、しほはみほがどう対応するのか楽しみとなっていた。黒森峰を象徴すると行ってもいい、鉄壁の高火力戦車に対してである。対応すると行っても大洗の戦力で倒せるとは微塵も考えていない。
以下略



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