過去ログ - 【ガルパン】西住しほ「おかえりなさい」
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◆5yXN2jIX2Y
[sage saga]
2016/04/03(日) 14:45:51.64 ID:RVCvaGcC0
逃走を計る大洗は黒森峰の重戦車運用を逆手に取り、足場の悪い悪路をあえて走り回った。その結果追撃隊は足回りのトラブルにあい、転輪が外れてしまう。
これではまほの率いる体制を立て直している本隊と合流してからの追撃しかないだろう。
その間に大洗は距離を取るため、通常迂回するであろう川を横断するようだ。流れが強いように見えるが、車両の重さ等を考慮し下流の戦車が流されないように編隊して進むようだ。突飛だが決して無謀じゃない策である。これなら難なく渡れるだろうと見ていたら、M3が停止したのだ。つくづくあの子は水難に見舞われるらしい。
当然のように私はM3が走行不能になったものと考え、みほも先を行くものだと思っていた。ところが大洗車は全車両停止し始めたのだ。
以下略
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/03(日) 14:46:45.92 ID:RVCvaGcC0
おもむろに4号からみほが飛び出すとワイヤーを体に縛り戦車を渡りだした。4号はフラッグ車であり、その上みほは隊長なのでは無いのか。
誤ってここで脱落すればチームが終わってしまう。指揮官が自ら危険に飛び込むなど私には考えられなかった。
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/03(日) 14:49:17.84 ID:RVCvaGcC0
しかし飛び移るみほの表情はどこまでも真剣で、これこそが正しい私の在り方なのだ。そう語っているように見えた。やはり彼女は『西住流』ではないのだろう。万が一の事故の可能性を見過ごせず、なにより尊ぶは仲間であるとする姿勢。黒森峰では有り得ないものだ。
だがその在り方は仲間に正しく浸透し、共感を得ているのだろう。昨年のあの試合でみほが飛び出したフラッグ車は、残った乗員は何もできず討ち取られた。対して大洗はみほが抜けたフラッグ車をはじめとする各車両が砲塔を旋回し、迫り来る黒森峰を威嚇射撃し、みほの援護と自主的な防衛を行っている。
互いに仲間を思いやりそれを重んじる。それがモニター越しにでも伝わってきていた。まったく異なる戦車道だ。
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/03(日) 14:51:15.14 ID:RVCvaGcC0
M3を連れ出し無事に全車両で逃走すると、みほ達大洗は市街地へと向かうようだ。道中に橋を落とすという新技も使い十分に距離は確保出来ている様子。
しかし黒森峰にはまだアレがある。まほが市街地へあらかじめ回しておいた秘密兵器が。絶対的な装甲を誇り、一撃でなぎ払う超重戦車マウスである。
障害物だろうとお構いなしに吹き飛ばすその戦車をどう引き付けるのか、この戦車を押さえ込めなくては大洗は絶対に勝てないだろう。
無力化に時間をかければ本隊も合流する。一人の選手と認めた今、しほはみほがどう対応するのか楽しみとなっていた。黒森峰を象徴すると行ってもいい、鉄壁の高火力戦車に対してである。対応すると行っても大洗の戦力で倒せるとは微塵も考えていない。
以下略
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◆5yXN2jIX2Y
[sage saga]
2016/04/03(日) 14:52:10.15 ID:RVCvaGcC0
車両を持ち上げ動きを封じマウスに戦車を乗せ砲塔を固定する、そして排気口を上方から発破しこれを打倒したのだ。この試合だけで何度も驚かされてきたが、マウスが倒されたことには言葉も出なかった。対して観客は盛大に湧き上がる。それだけ圧倒的な存在だと周知されている車両なのだ。
しほ「(咄嗟の判断でこんな奇策を思いつくなんて...)」
以下略
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/03(日) 14:54:41.14 ID:RVCvaGcC0
だが大洗の快進撃はまだまだ止まらない。ようやくやってきた黒森峰本隊を相手に緻密な連携でフラッグ車の進路を憚り、はたまた黒森峰の車両を本隊より引き剥がす。
更に恐ろしいことにあのM3が地形を利用しエレファントを仕留めると、立て続けにヤークトティーガーを道連れにしたのだ。川で救援に泣いていた選手達とは思えない活躍ぶりである。
3両を相手取る八九式は凄まじい操縦技術でその砲撃をかわし、自軍のフラッグ車から引き離す。いつの間にか大洗の4号の後に付いているのは、黒森峰のフラッグ車となっていた。
そんなみほとまほの二両が学校のような建物に入ると同時に、待機してたPティーガーがその入口を塞ぐように立ちはだかる。後続の黒森峰車両は阻まれ、両軍のフラッグ車による単騎戦となっていた。
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/03(日) 14:56:39.22 ID:RVCvaGcC0
観客「これで互角の条件になった!運が味方したな大洗は!勝てるかもしれんぞ」
観客の一部が興奮気味に声を上げている。しかしその意見は正しくない。運などではないのだ。この状況は単騎決戦を目的とした大洗チームによる完全な誘導によるものだ。各戦車すべてが高い技術を持っている上に、驚くべきはその連携能力だ。すべての行動が同時に進んでいたことから、予めこうなるように作戦は立てられていたのだろう。
しかし状況とは変わるものであり、それに応じて実行するのは難しい、隊長からの指示だけではそれはなりたたない。各車両がみほの考えを汲み取り、受けた指示以上のものを自分の頭で考えて動いているのだ。でなければここまで細かい誘導などできるはずがない。
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/03(日) 14:58:02.22 ID:RVCvaGcC0
みほの仲間を尊ぶその在り方によって生まれたこの大洗というチームは、練度に加えて連携によって何倍もの真価をはっきする。恐ろしいチームだ。
あの子が行ったのは既存の『道』でなく、新たな『道』を開拓しそれを伝え導いたのだ。
しほ「...この試合が始まってから驚かされるばかり、あの子の才覚はとんでもないものかもしれない」
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/03(日) 14:59:54.33 ID:RVCvaGcC0
モニターではみほとまほが対峙し、限られたエリアでお互いの先を読み戦っている。どちらも私の娘なのに知らぬ間に立派に成長していた。
私がここまで食い入るように試合を見るのは、いつ以来だろうか。楽しくてしょうがないのだ。同時に嬉しくて仕方がない。
この時しほの中に合った感情は、好敵手を見つけた一人の戦車乗りとして、指導してきた弟子二人の成長をみる家元として、大きく成長した二人の母として、
今まで両立できてこなかった3人の『西住しほ』が初めて全員共感した感情だった。しかし本人はそれに気がつかない。今頭にあるのはみほとまほの勇姿だけである。
以下略
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/03(日) 15:00:43.18 ID:RVCvaGcC0
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【離れた丘】
会場から遠く離れた位置でしほはモニターを見ていた。そこに映るのは優勝旗を握り仲間に囲まれ笑顔を零すみほと大洗選手達である。
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