過去ログ - 屋上に昇って.
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11:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:28:02.10 ID:IXgA3K/jo

 嘉山の表情に、混乱が兆した。

 目に見えて何かが変わったというわけじゃない。
 それでも、一瞬で、雰囲気ががらりと揺れ動いたのがわかる。

 俺は全身が緊張するのを感じた。

「葉羽は時計を、でも時計は、いや、あのとき、葉羽はたしかに時計を」
 
 最後までつながらない言葉が、嘉山の口からあふれ出してくる。
 無表情のまま、彼は言葉を吐き出し続ける。

「時計? 時計だ。時計だと言っていた。そのはずだ」

 でも時計はここにある。でも葉羽は、葉羽はあのとき、
 俺はたしかに、いや、けれど、

 何かが噴き出そうとするのを抑えるみたいに、嘉山は額を抑えた。

「孝之、落ち着け」

 嵯峨野連理が嘉山の肩を抑えた。嘉山はそれを振り払った。




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