25:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:35:14.32 ID:IXgA3K/jo
  
 「ねえ、タクミくん、あの夏休みに、タクミくんがこの街に来たのは、どうしてですか?」 
  
 「……え?」 
  
 「その理由が、わたし、知りたいです」 
  
 「理由……」 
  
  母親が、 
  静奈姉の母を、頼りにしていた。仲が良い親戚同士で、いろんなことを相談していた。 
  そのときも、何か、相談したいことがあると言って、母さんは、 
  相談したいこと。 
  
 「――どろぼう」 
  
  とるーは言った。 
  その一言で、一挙に記憶が押し寄せてくる。 
   
  その濁流に呑まれそうになる。 
  意識が、急に、ここじゃないどこかにさらわれそうになる。 
   
  それを俺は、ぎりぎりのところで押しとどめた。 
  漠然としたイメージが、ただ、印象だけになって、俺のもとに残される。 
  
  
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