274:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:43:09.75 ID:kC14h97wo
「……ところでちはるちゃんって、春生まれなの?」
「え? ……いえ、どうしてですか?」
275:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:43:35.81 ID:kC14h97wo
「……ま、そんなことはともかく」
と、母は話を打ち切った。
276:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:44:20.14 ID:kC14h97wo
◇
「タクミくん、どうして散歩なんて……」
277:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:45:17.11 ID:kC14h97wo
るーは、何か考えこむように、少しだけ口を閉ざした。
「……ね、タクミくん。今、何を考えてますか?」
278:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:45:43.42 ID:kC14h97wo
「……ね、タクミくん。出エジプト記って、どんな話でしたっけ?」
「どうして?」
279:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:46:39.10 ID:kC14h97wo
「ひどい話ですね」
「ひどい話なんだ。それからも艱難辛苦は続く。苦い水しか得られないとき、奴隷たちは『何を飲めばいいんだ』とモーゼを責めた。
モーゼは主の奇跡によって水を甘くして奴隷に与えてやった。次に食べ物がなくなると、彼らはまた恨み言を言った。
280:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:47:54.73 ID:kC14h97wo
「理不尽に苦しみ続けるよりも、がんばってそこから抜けだそうとあがくことの方が、よっぽどしんどいこともあるだろ。
奴隷の苦しみは、奴隷が消化するべきもので、モーゼが何か手を加えることではなかったのかもしれない。
そうすることで、余計に話がややこしくなったのかもしれない」
281:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:48:26.06 ID:kC14h97wo
それを遮るみたいに、手のひらに触れる感触があった。
るーが、手のひらを重ねてきた。
282:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:48:52.30 ID:kC14h97wo
「良い天気ですね」と、るーが言う。
本当に良い天気なんだ。
283: ◆1t9LRTPWKRYF[saga]
2016/05/14(土) 00:49:35.11 ID:kC14h97wo
つづく
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