過去ログ - 屋上に昇って.
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292:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:38:48.00 ID:GNfKg3P3o

「……不思議になるんだよな」

「何がですか?」

以下略



293:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:40:09.61 ID:GNfKg3P3o

 日差しに歪む視界のなか、夏の気配にまぎれて、俺達は猫の影をどこまでも追う。

「……だいきらいって、言ったことがあるんです」

以下略



294:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:40:43.50 ID:GNfKg3P3o

 るーの手を握った。

 彼女は、こちらを見上げてくる。

以下略



295:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:41:40.42 ID:GNfKg3P3o


「だから、わたしにとって、あの夏は特別なんです。
 あんなふうに過ごせなければ、今みたいには、なれなかったかもしれないから」

以下略



296:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:42:06.42 ID:GNfKg3P3o

 その約束を、どうして俺は、今まで忘れていたんだろう。

 父のことが、よだかのことがあったから?
 時間の流れが記憶を薄めて、実感を遠ざけたから?
以下略



297:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:42:34.83 ID:GNfKg3P3o

「そんなことないですよ、きっと。タクミくんは、がんばってきたんだと思う。
 わたしには、ちい姉や、すず姉がいたから。だから、不安にならなかっただけです」

「……」
以下略



298:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:44:16.85 ID:GNfKg3P3o

 俺たちが足を止めると、猫は静かに、目の前の家の敷地に入っていった。

 べつに、変わったところのない家だ。
 しいていうなら、周囲に並ぶ家よりも、いくらか古そうな感じがするくらい。
以下略



299:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:44:46.73 ID:GNfKg3P3o



「どうぞ」

以下略



300:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:45:35.93 ID:GNfKg3P3o

「その子に見覚えは?」

 俺の膝の上の猫を示して、女の人は静かにそう訊ねてきた。

以下略



301:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:46:01.63 ID:GNfKg3P3o

「……」

 みゃあ、と猫が鳴いた。首を傾げてから、俺の手の甲をぺろりと舐めた。

以下略



302:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:47:19.05 ID:GNfKg3P3o

 みゃあ、とまた、猫が鳴く。

「……なついてますね」

以下略



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