305:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:49:26.84 ID:GNfKg3P3o
俺の表情を見て、るーは不満気に口をとがらせる。
「あのね、タクミくん」
306:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:49:59.09 ID:GNfKg3P3o
……困ったな。
俺が生まれなければ、よだかは幸せになれたかもしれない。
俺がいなければ、もっと、世界は上手くまわっていたかもしれない。
307:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:50:32.49 ID:GNfKg3P3o
◇
少し落ち着きを取り戻してから、俺たちふたりが家に戻ると、母は「遅い!」と声をあげた。
308:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:51:01.38 ID:GNfKg3P3o
◇
自分の買い物はほとんどしてないくせに、なんだかふたりは充実した顔をしていた。
309:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:51:41.97 ID:GNfKg3P3o
「……まだ、考え中」
とにかく、俺はそう答えた。
310:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:52:08.44 ID:GNfKg3P3o
何もかもを綺麗に覆せる魔法なんて、この世のどこにもない。
未整理のもの、散乱したもの、消化できないものをそのままにして、それでも歩くのをやめられない。
311:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:53:00.13 ID:GNfKg3P3o
◇
その夜、少しだけ、父と話をした。
312:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:53:29.17 ID:GNfKg3P3o
◇
翌日、母に車で駅まで送られて、土産を選んでいる間、携帯に電話が入った。
313:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:54:04.63 ID:GNfKg3P3o
「……蒔絵先輩ですか?」
隣でおみやげを選んでいたるーが、首を傾げた。
314:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:54:37.06 ID:GNfKg3P3o
「え、一緒にいるの? キセイチュウじゃないの?」
寄生虫みたいなイントネーションだった。
315:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:55:03.50 ID:GNfKg3P3o
お土産を買ったあとの待ち時間。母は用事があると言って、すぐに帰ってしまった。
「気をつけてね」と言われたけど、何を気をつければいいのやら。
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