過去ログ - 今井加奈「二つ目の魔法」
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4: ◆bwwrQCbtp.[sage]
2016/04/07(木) 19:42:08.49 ID:hs8LFNrfO
「くそっ!」

 ドン、と机を叩く。
 加奈は俺のせいで負けた。
 俺のせいで加奈のチャンスが潰れる・・・

 叫びたい気分だ。
 しかし叫ぶべき言葉すらない。
 もう一度両手で机を叩く。

「加奈・・・本当に、すまない・・・」

 いったい、こんな気持ちで、どうやって春フェスにのぞめば良いのか。
 わずかでも可能性があるなら、全てを賭けるべきなのか。
 いや、それは今日までのオーディションでするべきだった。

「今さら、そんなこと言っても仕方ないだろう!」

 思わず声に出す。
 わかっている。
 先を見なければいけないことは。

 気持ちの整理がつかない。
 落ち着こう。

 コーヒーでも飲むか、と席を立ち、奥の給湯所に行ってみる。
 コーヒーメーカーは綺麗に洗われて置いてあった。
 当たり前だが、誰もいないのだから当然だ。
 今から自分で一から準備してコーヒーを淹れる気にはならなかった。

 缶コーヒーにしよう。
 階下の自販機に向かうことにする。
 事務所内を歩いていて、足先が引っかかった椅子を思わす蹴りつける。
 ドアも蹴破りたい衝動に駆られる。

 落ち着くはずだろ。
 自己嫌悪。
 しかし、苛立ちの元が自己嫌悪なのだ。
 負の感情が悪循環で膨れる。
 なんとか抑えて、俺は事務所のドアを後ろ手に閉めた。
 




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