14: ◆yz988L0kIg[saga]
2016/04/17(日) 22:43:28.97 ID:jEsO6OsCO
普段宿題に使っている部屋に入ると、誰もいなかった。
壁にかけてあるホワイトボードに目をやると、プロデューサーの欄にあった忌々しい矢印が伸びていた。
「今日……レッスン……お休み……ね……」
普段なら愛猫に会いに帰るところだったが、なんとなく今日は帰りたくなかった。
また伸びた爪で傷つけるのが怖く、最近はあまり積極的に触れ合っていない。
どうしようかと思っていると、不意にドアが開いた。
「あら、雪美ちゃん。 こんにちは」
「……久美子……こんにちは……」
「あれ? 今日はレッスンお休みだけど…間違えてきちゃった?」
「ううん……違う……久美子は……?」
「私はね、なんとなくピアノを弾きたくなったから来たの。 ほら、マンションじゃ弾けないでしょ?」
「……そう……」
「雪美ちゃんも弾いてみる?」
「………うん……」
「あ、でも雪美ちゃん結構爪伸びてるわね。 ちゃんと切らなきゃだめよ?」
「…………………うん」
「私が切ってあげようか?」
「ううん……大丈夫……」
「遠慮しないで」
「良い……」
「雪美ちゃん……」
今一番触れられたくないところに触れられて、雪美は嫌になり逃げ出そうと歩を進める。
ドアに手をかけたところで、久美子が声をかける。
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