過去ログ - 幸子「ドリーム・ステアウェイ」 みく「イントゥ・ヘル」
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26: ◆.nnFO3p0tfz9[saga]
2016/04/24(日) 00:38:27.24 ID:1rz28tPbO
 彼我の戦力差を理解し、勝てる戦いをのみ――美嘉の戦術は、派手な外見とは裏腹、堅実なものであった。
 然し、そもそもの想定が狂っていた。
 美嘉は未覚醒の相手を、未覚醒の間に仕留める事で、他の陣営の強化を阻止する*レ的で動いていた。だから、追い詰めた獲物に牙を剥かれる前提など存在しなかった。
 あいは、穏やかな立ち姿から、突如、弾かれたように馳せる。
 長い足が地を蹴って、大きく弧を描き、美嘉の頭部へと迫った。何の変哲も無い、ただの蹴りだが――戦闘経験の豊富な美嘉は、この蹴りが十分に、自分を殺し得るものだと知っていた。

 だが。
 元より戦いに於いて、想定外など日常茶飯事である。
 残響≠戦わせるのが常識であるシンデレラパーティーに於いて、自ら武器を持って他のアイドルを狙う美嘉が、此処まで勝ち残っている理由は、酷く単純であった。

「あら……私も精神干渉系なのに……ひどいわ……」

 単純に、強いのだ。
 美嘉が、ではない。
 美嘉の盾となり、美嘉の剣となる残響=\―過去のアイドルの写し絵が。 
 人の首をも断つ斬撃の如き蹴りを、彼女≠ヘ左手で軽く打ち払い、美嘉を背に庇って立った。

「……! まいったね、最初から最悪の相手だ……!」

 蹴り足を弾かれたあいは、次を放たず呼吸を整えながら、神秘的なまでに眩い敵の姿に、僅かに目を細めた。

「ふふ、ありがとう。あなたに褒めてもらえるなら、自信を持ってもいいのかしら」

 高垣楓――数ある残響≠フ中で、間違いなく最強格の一座を占める、最強最悪の歌姫≠ナあった。


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