過去ログ - 幸子「ドリーム・ステアウェイ」 みく「イントゥ・ヘル」
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◆.nnFO3p0tfz9
[saga]
2016/04/25(月) 02:59:32.27 ID:H2GDRAmmO
「へ――?」
「パワー、スピード、いずれも平均的か少し上。防御はやや自信が無いが、それも平均より大きく下回ってはいない――私は、突出した欠点の無い事が売りでね。ワンオフ、固有の能力はさっき伝えた通りだが――要は『任意の一人だけに、その対象に害を与えない範囲で行動に干渉できる』」
「ぐ、具体的に言いますと……」
「君の同級生――美嘉君と言ったか。彼女からナイフを取り上げただろう? あの時、私は彼女に攻撃出来なかった。『攻撃の意思を持たない』事を条件に、彼女の『抵抗しようという意思を排除』したという訳だ。
だから私は、高垣楓のように、敵に自死を強要する事も出来ないし、複数人数を同時に操る事も出来ない……最悪の相手だと言ったのはこれだよ。殆ど彼女の能力は、私の上位互換に近いのだから」
それから、あいは、ふうと溜息を吐いて、跳び箱を椅子代わりに腰掛けた。ある種自虐的な微笑みを浮かべて、ゆるゆると首を振り、
「……とは言うが、最初から諦めて掛かるのも性に合わない。なんとか手を考えてみるし、パートナーの君だけはなんとしても守って――」
そこまでを言って、あいは気付く――幸子の雰囲気が、先程までと、ガラリと変わっていたのだ。
先程まで、輿水幸子は、14歳の少女。自信家な面を持ちながら、怖がりもする、戸惑いもする、年相応の子供であった筈なのに――
「――幸子君?」
「少し、待ってください」
それが、急に変わった≠フだ。
幸子の目は床に向き、雑多な視覚情報を排除し、思考のみに努めていた。
小さく動く唇は音を伴わぬまま、多数の言葉を紡ぎ、それも自分の思考の中でのみ消費される。
何がスイッチとなったものか、それはあいにも分からなかったが、幸子は――見事なまでに腹を据えて、戦いの備えを整えていた。
「――二つ、詳しく教えてください」
「その目、何か思いついたようだね。……良いだろう、何でも答えよう」
「では……あなたの排他的絶対干渉≠フ定義と、高垣楓の能力の認識できる範囲内≠フ意味を――」
不敵な笑みを浮かべて、あいが身を乗り出す。彼女もまた、おとなしく諦める事を嫌う性質である。
そういう面では、この二人は似ていた。
自らに自信を持っているが故、諦めない。自分にはまだ能力があると信ずればこそ、諦めぬ限り可能性は開かれると信じられる者達である。
「――その二つを使って、最強≠出し抜きます」
怯え、頬をひきつらせながらも、輿水幸子は笑った。
目には涙さえ浮かべていたが、その意思は確かに前を向いていた。
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