22: ◆iIsZzNIzns[saga]
2016/05/09(月) 23:26:11.07 ID:FAWlJ3Xr0
千冬「山田先生!」
――ゴンッ!
机に頭を盛大にぶつけた音が響く。
一夏のクラスの副担任である山田 真耶は、目をしばたいた。
山田「あうひゃ!? あ、はい!?」
どうやら居眠りをしかけてしまっていたらしい。慌てて口元から顎にかけて涎の後をつけているのをこする。
千冬「織斑、山田先生にも報告してやれ」
一夏「わかった、じゃなくてわかりました」
一夏「実は――」
――
―
山田「――あー」
一夏が説明を終えると悩ましげな吐息をはく。
山田「一度生徒全員に連絡する必要がありますかねー……」
一夏「あの、他にも今日みたいなことがあったんですか?」
まだぼんやりとした声で、山田はそう説明する。ようやく目を開いたが、まだ半分閉じたような感じだ。
山田「まだ実害はないですけどー。チラホラと報告は受けていますよー」
一夏「あの襲ってきた人達はいったい……?」
山田「強引なナンパ、というのは女性がISを使えるようになって社会地位が逆転してからは減りましたし」
山田「というか、ありえませんね」
教えるべきか迷っているような表情を見せたが、一夏のほうに目をやってから、不承不承といった感じで応えた。
山田「おそらくは、その“女性がISを使える”ということに不満を持っている一部の反社会的な人達ではないかとー」
一夏「そんな人達がいるんですか?」
山田「ISができてからの歴史は浅いですから。その変化を受け入れられないって人達は必ずいるものなんですよ」
千冬「表立って行動しているものは、一部の中でも極一部だろうがな」
コーヒーの入ったステンレスのマグカップを手にとり、一口、飲む。
千冬の言葉に山田がそうですね、と頷くと、一夏が顎に手をあてて考え込んでいた。
一夏「なんだか、複雑なんですね」
表向きは平穏に見えても、裏にまわれば多くの人たちが不満を抱えている。
政治的な背景のせいもあるのかもしれないのかな、と一夏は漠然に思う。
一夏「俺なんか、そんなことが不満だなんて思ったことないけどな……」
そんな一夏のつぶやきに対して、二人の教師は薄く笑みを浮かべていた。
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