39:名無しNIPPER[saga]
2016/05/18(水) 21:38:42.63 ID:wEJbruLdo
対抗戦フェスも間近になり、それまでのスケジュールに組まれた最後のオフの日である今日を、ボクはボクらしく過ごすことにした。エクステも付けてある。
とはいえボクの生活、特に食生活が蘭子や幸子によって改善されてしまい、寮の食堂で朝食や夕食を取るようになったボクがボクらしいといえるかは疑問だ。まだ独りで行く気にはなれないし、それぐらいはいいかな。
手始めにしばらく手の付かなかった趣味に勤しむとしよう。寮に引っ越してから封を開けていなかった荷物の中に眠らせている、漫画を描くための道具を取り出した。
何も描かれていない真っ白なページに自分だけの物語を紡ぐ――漫画を描いている時は、ヒトであるボクも世界を創造する側に回れる。現実の世界では思うようにいかないんだ、それぐらいの抵抗は許されるだろう?
ゆくゆくそれが黒歴史ってヤツになろうとも、ね。ボクは気ままに自分だけの歴史を歩んでいきたい。どうやら歴史が黒く染まった先人は数多いようだが。
漫画を描くことで抵抗する必要のないほどボク自身が非日常を味わってしまっていたから、こうして自分の望むセカイを描き出す高揚感が懐かしいとさえ思う。
さぁ、物語を紡ごうか。
話はだいたい出来ていた。頭も体もあまり使わなくて済む時間――学校にいる時とか、プロットを練ったりして退屈をやり過ごしている。ボクじゃなくても退屈しのぎの方法ぐらいそれぞれ確立してるんじゃないか?
学校、つまらない日常の最たる例だ。ボクが14歳になってすぐ、つまり中学二年のそれも三学期だなんて時期に寮への引っ越しに伴い、初めての転校を経験した。
転校生とはそれまでの日常に突如として現れた異物のようなものだ。ボクも例に漏れず奇異の目に晒され、声を掛けてくる人もそれなりにいたけれど、既に作られた輪へ溶け込むことはしなかった。
……出来なかった、ともいえる。日常の世界では諦め慣れていたせいかな。
でもボクは全く気にしていない。ボクには非日常の世界が待っているのだから、とっくに飽きていた日常の世界なんて二の次だ。
有り余っていた時間で織り成されていた物語の、まずはネームの作成に取り掛かる。今はアナログでの作業をしているけれど、いつかデジタルな作業もしてみたい。パソコンっていくらぐらいするんだったか。
もしアイドルとして売れることがあれば、それぐらい簡単に買えるかな――
112Res/208.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。