40:名無しNIPPER[saga]
2016/05/18(水) 21:41:14.25 ID:wEJbruLdo
黙々と趣味に没頭していると、ノックの音が転がってきた。
……うん、片付けてから応対しよう。
「ちょっと待ってくれ。……あぁ、いいよ。どうぞ」
起きている間、鍵を掛けることが少なくなったボクの部屋に入ってきたのは幸子だった。
何やら手帳を携えている。何だろう?
「えっと……そのー。お、お元気ですか?」
どことなく不審な幸子を、さてどうしてやろうかと画策するのも一興だったが、今日はボクらしく過ごしたいのもあって早めに本題を引きずり出すことにした。
「まぁ座りなよ。朝食を食べ切れる程度には元気さ、幸子も見ていただろう? それで、何の用だい」
「うぅー……」
「言いにくいことなのかい?」
「それほどでもないのですけど……そう、ですね。か、覚悟を決めました! 飛鳥さん、カワイイボクを助けてくれたりはしませんか?」
事態は切羽詰まっている、ということだろうか。やむを得ずボクのもとに?
幸子が言い淀んでいた理由は解らないが、それで彼女に手を差し伸べない理由にはならなかった。
「いいよ。ボクにしか出来ないことがあるのなら、ね。早いとこ済ませてしまおう」
「ありがとうございます! それで……ですね? 今日ボクが飛鳥さんを訪ねたことは、蘭子さんには黙っていて欲しいんです」
「蘭子に? 蘭子には内緒の話、ってわけか」
「そういうことになります。いいですか?」
「了解だ。それで、蘭子に内緒にしなければならないようなボクへの用事、聞こうじゃないか」
「むぅ……笑わないでくださいよ?」
よほど困窮していたのか、幸子が恥を忍んでここに来たことだけは伝わってきた。
「あの、ですね……。ボクに、蘭子さんの言葉がわかるようなコツとかあれば、教えてください!」
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