過去ログ - 飛鳥「ボクがエクステを外す時」
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41:名無しNIPPER[saga]
2016/05/18(水) 21:44:34.32 ID:wEJbruLdo

 ……。
 なんだそんなことか。

「今絶対なんだそんなことかって顔しましたよね!? ねぇ!?」

「いや、すまない。フフッ……」

「笑わないでって言ったのにー! うぅぅ、酷いですよ飛鳥さん……」

「そうじゃないんだ、幸子。もう既にキミも『瞳』を持っているんだ。ボクなんかいなくても何とかなるさ」

「この時点で何を仰ってるのかよくわからないから、せめてコツだけでも飛鳥さんにお聞きしたかったんですけど……」

「ふぅん、そんなに幸子は蘭子のことを解りたいって?」

 含みがある意地の悪い言い方も、相手が幸子なら安心して口に出来た。

「だ、だってボクだけ蘭子さんが何を言ってるのかわからなかったらですね? ボクたちの舞台もすぐそこですし、チームワークは万全にしておいた方がよいでしょう?」

「つまり、ひいてはボクらのため、と」

「そ、そういうことです。ああ、ボクってなんて健気なのでしょう……」

「フッ、解ったよ。キミが望むのならボクは力になろう」

 力になれることがあるのかどうか定かではないけれど、幸子が蘭子のことを解ろうとしてくれて嬉しくなっているボクがいた。
 ……今日はボクらしく過ごすつもりだったのにな。カワイイヤツめ。
 期間限定とはいえユニットに貢献できるという点でもボクには充分動機になる。今度の舞台はアイドルとしての「二宮飛鳥」の足掛かりとなるのだから。そのために彼が推薦してくれたのをボクはしっかり憶えている。

「ずっと気になっていたんですが、どうして飛鳥さんはそんなに蘭子さんの言葉の意味が伝わるんです? 語彙力の問題なのでしょうか?」

「語彙も確かに彼女の言葉を紐解く上で重要ではあるけど、まずは彼女のセカイに共感することから始めるべきだね。共鳴、とも言うのかな」

「ハードルが高過ぎます!」

「幸子は我が道を往くヤツだからな……あぁ、ボクもか。それでも彼女を理解しようというんだ。大丈夫、蘭子もその努力は高く買ってくれるよ」

「努力してるなんて思わせたくないから飛鳥さんにこっそり聞いてるんですが……」

「それもそうか。だがボクから教えられることとなると――」

 これ以上の言い様がない、と言い掛けたところでノックの音に割り込まれた。
 もしかしなくても蘭子だろう。どうしてこうもタイミングが良いんだろうな、この二人。


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