7:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:23:46.73 ID:G1lrEIoLo
「二人とも、何を仰ってるんです? ああもう、蘭子さんについては覚悟してましたが、ボクの周りに話の通じる方はいないんですか……」
幸子の中ではボクと蘭子は同類らしい。ボク、そんなに難しいこと言ったか?
「ははは、これから仲良くやっていけそうだな。ちなみに俺がお前ら14歳代表のプロデューサーだ。よろしくな」
「知ってますよ。あなたはボクのカワイさを世界中に広める、とても栄誉ある大役があるんです。忘れていないでしょうね?」
「我が友に遙かより見出されしこの魔翌力、望みとあらば求めに応じ解き放たん!」
発言の内容を察するに、三人は面識があるようだ。何かを思い出してしまいそうで、なんだか心がささくれ立っていく。
あぁ、またこの感覚か。自分だけが共有できない世界を前にどうすることもできないでいる。新参者が常に歓迎されると思ったら大間違いなんだ。
プロデューサーすら、さっきまでボクと屋上にいたヤツと同一にはもう見えない。ボクの知らない歴史と、そこで構築された世界がボクを拒む。そんな錯覚に陥る。
……考えすぎか。
これから同じ舞台を控える同志なのだから、排除する必要性がどこにある?
「やれやれ。個性の海に沈まないよう、足掻いてみるとしよう」
自分らしい言葉を、一抹の寂しさと一緒に吐き出す。
白い息に乗せてかき散らしてしまいたかったが、室内は白く染まるほど寒くはなかった。
「心配しなくてもあなたも個性的ですから! ……あー、知ってると思いますがボクは輿水幸子といいます。えっと、飛鳥さん? よろしくお願いします。ちょっとだけ先輩のボクが何でも教えてあげますから、頼ってくださいね!」
自尊心の塊かと思いきや、礼儀正しさを漂わせながら彼女なりにボクへ気を遣う幸子と、
「我が友の如く、我が波動を解するやもしれぬ『瞳』の片鱗を秘めし者……飛鳥ちゃんかー♪ あ、いえ、その……創世の時!」
一瞬何か崩れなかったか?
仮面の奥に潜んでいるのは純真か、それとも。どうにか覆い隠そうと口調を戻す蘭子と、
「この二人のことなんてすぐに追いつけ追い越せだ。頑張ろう、飛鳥」
その発言の意図はなんですかと幸子からの小さな抗議を軽くあしらいながら、いつもの笑みを浮かべるプロデューサー。
「……うん」
考えすぎ、だよね。
こうして期間限定ユニットの結成はあっさりと成されたのだった。
新参者のボクをなんてことなく許容し迎え入れた同い年のアイドル二人、幸子と蘭子にも少しだけ興味が湧いてきた。彼の思惑通り良い刺激になりそうだ。
ここが当面のボクの居場所。
悪くない。
「ところでプロデューサーさん、ボク達のユニット名はどうなってるんですか?」
「そこまでは決めてないんだよ今回。コンセプトが年齢別だから一目でわかりやすいようにさ、お前らはさしずめ14歳組ってとこか」
「味気ないですねぇ。もっとこう、ボクのカワイさがにじみ出るように……カワイイボクと同い年の仲間たち、どうですか!」
部屋の空気が凍りつく音がした。
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