96: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/11(土) 23:19:00.88 ID:2YZyh0JIo
「笑うなよ。お前達のファン1号は俺なんだからな」
「なら、キミは相当に恵まれたファンみたいだね。アイドルとこうして触れ合えるファンなんて、そうはいないんじゃないか?」
「まあな、1号に与えられた特権ともいえる」
「その特権、もっと行使したくならないものなのかい?」
「あのなあ。仕事中にそんなことするかっ」
「ふぅん……プライベートならするんだ」
「あ、いや、そういう意味じゃ……」
「幸子とは遊園地へ遊びに行ったんだって? 蘭子には手作りの料理をご馳走になったそうじゃないか」
「聞いたのか!? それはあいつらに誘われて、無下にするのも可哀想だし……。新たな一面も見れるかと思ってさ」
「自分から誘ったわけじゃないならOK、と」
「ぐぅぅ、勘弁してくれ〜」
「勘弁して欲しかったら、観念することさ。キミがボクらに踏み込んでくるのなら、ボクらにだってキミに踏み込む権利はあるはずだ。過去のことが清算出来ていなかろうが、それはそれ。ボクらとは関係ない」
「それはそうだけど……」
「キミはプロデューサーなんだろう? 隠された魅力を引き出す、ってのは嘘なのかい? 余計な感情を抱いたらつらいから、なんて理由で中途半端にボクらと関わっていくつもり? 諦めなよ、そんなこと承知の上でキミとは解り合っていきたいんだから。ボクらを輝かせたいのなら、キミもそのぐらい覚悟しておいてくれないと」
「…………」
持てる言葉は尽くした。煮え切らない彼にちょっと腹も立ったし、これぐらい言わせて欲しい。
それでも彼が線引きをしたいというなら、彼の選択を尊重するしかない。彼と共にいられる場所はこういう世界だから。
ボクは返事を待つ。
次に返ってくるのがプロデューサーとしての言葉なのか、彼個人としての言葉なのか。見極めなければならない。
願わくば、彼自身の言葉を……聞かせてくれはしないだろうか。
仕事のためなんていう物分りのいいオトナの仮面なんか、取り去って。
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