6:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:17:26.41 ID:1EMEuCfU0
今朝かかって来た、一本の電話。
私の曲、「DIAMOND」のイントロが鳴った。
あいつの着信音だ。
7:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:18:12.64 ID:1EMEuCfU0
「鳴ってるわよ」
ソファーでゆっくりと食後のお茶を飲んでいたあいつは、まだ眠りから充分覚めきっていないような、ぼうっとした表情で私を見た。
「電話、鳴ってるわよ」
8:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:19:03.45 ID:1EMEuCfU0
「どうしたの? こんないきなり電話してきて?」
ふにゃふにゃとしまりのない顔になっていく。
そういう性格だとは知ってるけれども、あんな顔を見せられると……。
9:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:19:52.25 ID:1EMEuCfU0
ひょっとして、電話の相手が見てるあいつは私の見ているあいつとは違うのかもしれない。
そうかもしれない、そう思った。
そして寂しさが湧いて来た。
10:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:20:43.93 ID:1EMEuCfU0
これは、嫉妬なのかしらね?
この感情はこれまでにも何度か感じたことがあった。
アイドル時代なんか毎日感じてた。
11:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:21:21.39 ID:1EMEuCfU0
やがて、「うん、うん。それじゃあ」というしまりのない言葉と共はあいつは受話器を戻した。
「女の人から電話なのね」
私は、そう言った。
12:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:22:16.34 ID:1EMEuCfU0
慌てて、顔の前で手をふりながら、あいつはそう言った。
「本当かしらね。そのわりには随分嬉しそうに話してたけれど……」
「嬉しそうって、そりゃそうだろ。久しぶりに同級生の声を聞いてさ、嬉しくないはずないだろ」」
13:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:22:54.60 ID:1EMEuCfU0
本当は、これは私の勘違いだなと、私は分かりはじめてていた。
基本的にあいつは嘘がつけない。
あいつは嘘をついたり、隠し事をしている時はいつも視線をそらすから、まず簡単に分かってしまう。
14:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:24:10.15 ID:1EMEuCfU0
それでも、なんとなく許せないのは、あいつが私の気持ちを全く分かってくれへんこと。
いきなりの女性からの電話。
嫉妬したり、疑ったりするのはごく自然なことじゃない。
15:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:25:14.34 ID:1EMEuCfU0
「男の人って、信じられないものね」
私は笑いだしそうになるところを見られないようにあいつとは反対側を向くと、わざと肩を落としてそう言った。
「男の人って……、じゃあ、俺のことも信じらんないってことか?」
16:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:26:12.26 ID:1EMEuCfU0
言うに事欠いて、あいつはとんでもない事を言い始めた。
「そう言えば、この間だってかなり帰りが遅かったよな」
「あれは仕事が長引いて……」
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