過去ログ - 速水奏「ブルードレス」
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31:墓堀人[saga]
2016/05/23(月) 11:05:18.24 ID:QQKHlK4R0
彼に会ってなんと言おう


『あら、偶然ね。今帰り?』


いいや不自然だ。私が事務所を出てからずいぶん経つ。マネージャーなみにみんなのスケジュールに目を通す彼なら不審に思ってもおかしくは無い。


『お疲れ様、貴方の事待ってたの』



いつも通りではある。しかしこれは露骨過ぎて引かれてしまうだろうか。

いいえ、そもそもこの席から彼の姿を視認して席を立ち、会計を済ませて外に出たら彼に追いつくのだろうか。

その間に見失ってしまう可能性は十二分にある。

とは言え外では止む気配のない雨が打ちつけ、雨宿りできる場所は限られており彼が本当に通るか分からない以上、この場所で待つのが一番安全だった。



雨の中彼の帰りを待ち伏せる自分を想像し、まるで物語のヒロインのようだと笑いそうになった時、見慣れた人物が目の前を横切る。


彼だ。


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