71:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:15:28.05 ID:t9Ps2uM50
私の馬鹿馬鹿しい提案は、彼の怒りに火をつけた。
「奏!お前ふざけるのもいい加減に…!」
72:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:16:12.62 ID:t9Ps2uM50
私は馬鹿だ。
勝手に恋して、勝手に振られただけなのに、全部彼のせいにしてワガママを言っているに過ぎない。
73:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:17:12.02 ID:t9Ps2uM50
そっと目を閉じた私は、顎を上げて身体を預けた。
彼の温もりが柔らかい速度で私の体温と混じる。
74:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:17:49.29 ID:t9Ps2uM50
私の肩に手が触れて、私は震える。
けれども次の瞬間に、その温もりは切り離された。
75:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:18:30.85 ID:t9Ps2uM50
「そう……そうよね」
冷たい虚空へと放り出された私の心は、深い深い青へと色を変えていく。
76:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:19:32.94 ID:t9Ps2uM50
「反省しているのは本当よ………けど今は…一人にしてくれないかしら」
「……ああ、分かった。今後のことは方針が決まり次第報告する」
「ええ、お願い…」
77:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:20:35.36 ID:t9Ps2uM50
78:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:21:06.12 ID:t9Ps2uM50
都内の大きなホテルで行われた結婚式は、芸能界関係者が多数参加する華やかなものだった。
本人たちは慎ましくやるつもりだったらしいが、新郎の方が周りに煽られるままにどんどん大規模になっていったという話だ。
79:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:22:00.16 ID:t9Ps2uM50
手にしたグラスを唇に寄せ、そこ注がれたカクテルを口にする。
甘み、香り、苦味。順番にやってくるそれらを飲み込んで、空を見上げてみた。
真っ暗になりきれない都会の空の中、青白い月が浮かんでいる。
80:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:23:31.26 ID:t9Ps2uM50
81:墓堀人[saga]
2016/05/24(火) 02:24:44.60 ID:t9Ps2uM50
「あら、新郎がこんなところで油売ってていいのかしら?」
私が声をかけると、びくっと身体を震わせた彼がこちらに向き直る。
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