113:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:36:26.76 ID:49W9hqJ1o
卯月「り、凛ちゃん! そんな言い方駄目ですよ、相手の方に失礼です!」
凛「卯月は黙ってて」
近寄れば噛み付かれそうな勢いである。柴犬ならぬ渋犬。
しかし楓は動じなかった。
楓「お邪魔しちゃったみたいですね。でも、そろそろ戻らないとお料理が冷めちゃいますよ」
卯月「ね? 凛ちゃん」
凛「……分かったよ」
卯月に説得されるような形で凛はテーブルを移った。
楓はこっそり蘭子に聞いてみた。
楓「……それで、本当はどんなお話してたの?」
蘭子「うん? えっと……凛さんが、卯月さんをよろしくって。あと、卯月さんと凛さんが仲が良いっていう話」
楓「ああ、そういう……」
正直なところ、凛に何か辛辣に当たられたのではないかと考えていたが、思い過ごしだったようで拍子抜けした。
渋谷夫妻の口ぶりから、一人娘の凛という子は悪意こそないものの、思春期にありがちなある種の純粋さが周囲に対する敵意として現れているという印象があったのだ。
友好的なだけでない人間関係があるという事を蘭子に知ってもらうという意味では、楓はむしろ凛の存在は都合がいいとさえ思っていたが、どうやら想像していたのとは少し違うらしい。
楓の直感では、この凛という排他的な少女の青春は、卯月というドールによって育まれ、そして卯月によって強烈に縛られているように思われた。
凛は卯月を管理しているつもりで、しかし実際は卯月にコントロールされているという無自覚な相互依存である。
この滑稽さはある意味では姉妹のそれに似ていた。
もっとも、兄弟姉妹を持つのが極めて珍しいこの時代において、姉妹らしいという感想は楓のイメージにすぎなかったが。
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