75:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:27:21.17 ID:49W9hqJ1o
そして、さて、例の商店街である。
今時、サーフェイスWETも不十分な、前時代的な場所にも人は集まるものである。
蘭子はしきりに辺りをキョロキョロしながら美優に手を引かれて歩いていた。
通行人にぶつかってしまいそうで楓も美優もひやひやした。
3人が並んで歩く姿は人目を引いた。
大学時代にモデルをやっていただけあって、楓はそもそも注目を浴びやすいのである。
そして蘭子といえば、自身で気合を入れて選び抜いた渾身のゴスロリファッションを身に纏っていた。
否が応にも通行人から奇異の視線を集めてしまうのである。
美優は、蘭子の可愛さが知れ渡る分には誇らしかったが、自分も見られていると思うと少し恥ずかしく感じた。
この可憐な女性は自分自身の美しさには悲劇的なほど無頓着だった。
楓「飛鳥先生サイン会まで結構時間ありますね」
美優「じゃあ先にお洋服見ちゃいましょうか」
蘭子がこくこくと頷く。
それから楓は美優に耳打ちした。
楓「あとで食事を摂るのも忘れないようにしましょうね」
楓が手に持っているIDOLの監視用MFには、受信感度5%と表示されていた。
思った以上に余裕がない。
朝ご飯はたくさん食べさせたが、その貯金がいつまで持つか分からなかった。
蘭子「あの……みゆさん」
美優「どうしたの?」
蘭子「ト、トイレに……行きたいです……」
ドールは人間と違って食べたものを99%無駄なくエネルギーに変換できるが、それでも少しは食べた分だけ排泄しなくてはいけないのである。
楓はとにかく燃料を供給し続ければ良いと考えていたが、実のところ後処理のことは考えていなかった。
美優は慌ててトイレを探し、蘭子を連れて入った。
そこでまた少し問題が起きるのだが、ちょっと生々しい話なのでここに詳しく書くのは控えさせていただく。
たまたま入った公衆トイレが時代錯誤も甚だしい和式であった事、それを経験したことのない蘭子、それを知った美優、これらの事実だけ述べて後は読者の想像に任せることにする。……
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