76:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:28:46.33 ID:49W9hqJ1o
……この商店街が、古臭いわりに訪れる人が多いのにはいくつか理由があった。
一つには、珍しい店が多いのである。
全国的にもあまり例がない反量子化思想、つまりアナログにこだわる商人たちが集まり組合をここを作ったのだが、そうした偏屈職人気質な人が集まれば当然そこには他にない珍名物が並ぶことになる。
結果、装飾品や機械技術、絵画や書籍、その他様々な珍しいレトロ文化の地として、この商店街はそこそこ有名なのである。
人気の理由は他にも、都心からほどよく近い事、
そして、今回のように文化人がよく来たりするので、各地からファンが集まりやすい事がある。
蘭子「あそこ……」
散策中、ふと蘭子が指差した先には何やら薄暗い陰気な雰囲気の店があった。
『Rosenburg Alptraum』というのが店の名前らしい。いわゆるブラックレター調である。
いかにも蘭子の好きそうな妖気を放っている。
美優は蘭子の行きたいところへ行かせてやるつもりだったが、パッと見、なんの店かも分からない怪しいところへいきなり踏み込むのは気が引けた。
しかし蘭子が好奇心に吸い寄せられるようにそちらへ歩いて行こうとするのを引き留めることも出来なかった。
扉の窓から中を覗こうとしても薄暗いのでよく見えない。
蘭子は入りたくてうずうずしている様子だったが、遠慮しているのか恥ずかしいのか、入口の前で立ち止まったまま窓を覗き込んでばかりいた。
突然、扉が開いた。
「あっ!」
店から出てきたのは一人の少女である。
入口で蘭子と鉢合わせになる。
蘭子「はわわっ?!」
「ご……ごめん……なさい……急に……開けたりして……」
蘭子と同い年くらいの、小柄な少女である。
この店に負けないくらい陰鬱な雰囲気を纏っている。
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